1. 新しく開発された脳組織培養法を用いて培養した脳組織に、記憶の発現、保持に密接な関係があることが知られている神経伝達強度の長期的変化、すなわち長期増強(以下LTP)現象を誘発する方法の確立し、 2. 学習・記憶に悪影響を及ぼすとされる環境汚染物質が、このLTPに影響を与えるかどうかを定量的に明らかにすることを目的とした。 本研究により、培養海馬組織においても神経伝達強度の長期的変化、すなわち長期増強(以下LTP)現象が誘発できる方法を確立し、さらに、神経伝達の広がりを観測できる画像解析法も併せて確立した。 さらに、トリクロルエチレンの添加により、濃度依存性にLTP現象の低下が観察された。このことから、この方法は、有機溶剤などによる学習・記憶障害の発生の有無や有害強度の解析および記憶障害発生機構の解明にに極めて有効であることが明かとなった。
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