Project/Area Number |
10877064
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Hygiene
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
川西 正祐 三重大学, 医学部, 教授 (10025637)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
及川 伸二 三重大学, 医学部, 助手 (10277006)
山下 成人 三重大学, 医学部, 助手 (40263024)
村田 真理子 三重大学, 医学部, 講師 (10171141)
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Project Period (FY) |
1998
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1998)
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Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
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Keywords | 太陽紫外線 / 発がん / UVA / 生体内光増感物質 / 酸化的DNA損傷 / 塩基配列特異性 / アポトーシス / 8-ヒドロキシデオキシグアノシン(8-OH-dG) |
Research Abstract |
本研究の目的はUVAによる生体内物質を介したDNA損傷機構を解明し、そのDNA損傷機構が太陽紫外線発がんにどの程度関与するかを明らかにすることである。本研究において、ヒト培養細胞を用い、UVAによるDNA損傷およびアポトーシスについて解析を行った結果、(1)UVAによりHL-60細胞内でグアニン(G)の酸化生成物である8-ヒドロキシデオキシグアノシン(8-OH-dG)の生成量が増加した。また、(2)UVA照射により巨大DNA断片が、その後(3)caspase-3活性の上昇が認められ、次いで(4)アポトーシスに特徴的なラダー状のDNA断片化が検出された。さらに、単離したがん抑制遺伝子p53を用いた実験から、生体内光増感物質の存在下UVAは、2本鎖DNA中のGG配列の5'側のGで特異的に8-OH-dGを生成することが認められた。最近、分子軌道法を用いた理論計算により、2本鎖DNAのGG配列において大部分の最高被占軌道(HOMO)が5'側のGに分布しているため、電子移動による酸化的損傷が容易に起こることが報告された。以上の結果から、UVA照射により光増感物質を介した酸化的DNA損傷が起こり、その後DNAの切断、caspase-3の活性化、アポトーシスに至ることが示唆された。DNAが損傷を受けると、その損傷が修復できない時にはアポトーシスに至るが、修復過程でミスが生じた時は変異を起こし発がんに至る可能性が考えられる。これまで紫外線によるDNA損傷はUVBによるピリミジン光生成物と考えられてきたが、本研究からUVAによる光増感物質を介した酸化的DNA損傷も起こることが示された。従って、UVAはUVBに比べ発がん誘発能力が低と報告されているが、地表に到達する太陽紫外線の大部分をUVAが占めているため、UVAは太陽紫外線発がんにおいてUVBと同程度に重要な役割をはたしている可能性がある。
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