Project/Area Number |
10877174
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Metabolomics
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山田 信博 東京大学, 医学部・附属病院, 助教授 (40200729)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯塚 陽子 東京大学, 医学部・附属病院, 医員
後藤田 貴也 東京大学, 医学部・附属病院, 医員
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Project Period (FY) |
1998
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1998)
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Keywords | インスリン / 高血圧 / 遺伝子 / 脂肪細胞 / SHR / QTL / インスリン抵抗性 / 染色体 |
Research Abstract |
インスリン抵抗性の新たな原因遺伝子の同定を目標として、高血圧症およびインスリン抵抗性のモデル動物であるSHRを用いた研究を行った。まず、脂肪細胞での糖取り込み能を指標として、いわゆるQTL(Quantitative Trait Loci)解析によりSHRのインスリン抵抗性原因遺伝子座位を第4および第12番染色体上に同定した。さらに、mRNAを用いた検討と同領域の候補遺伝子の検討を行った。具体的には、SHRおよびそのコントロールであるWKYラットの脂肪細胞よりmRNAを単離し、cDNA subtraction法によりインスリン刺激後にSHRでその発現に特異的な変化を生じる多数の既知および新規cDNAをクローニングした。それらのcDNAクローンの染色体上での局在は、ラット、マウス、ヒト染色体間のsyntenyおよびradiation hybridpanelを用いて決定した。また、各遺伝子のcDNAの塩基配列を調べ、SHRとWKYラット間で比較した。それらの結果、4番染色体の当該領域にはインターロイキン6(IL-6)、内皮由来一酸化窒素合成酵素(eNOS)、L型カルシウムチャンネル(Cchl-2a)、脂肪酸輸送担体(FAT)遺伝子などが、また12番染色体の当該領域には、インスリン受容体(INS-R)、インスリン受容体基質-3 (IRS-3)遺伝子などの局在が明らかとなった。cDNAのcoding領域の塩基配列の比較では、SHRでは1塩基置換によりCchl-2a遺伝子でサイレント変異が、またIRS-3遺伝子ではミスセンス変異(Met430Thr)が同定された。Met430Thr変異は他のラットのstrain間でも認められ、その機能的影響は不明であるが、一種の多型と考えられた。一方、FAT遺伝子にはSHRのsubstrain間でスプライシング変異を含む複数の相違が認められ、またNorthern blot解析でもmRNAの長さの異常と発現量の減少が認められたことより、このスプライシング変異力年ATmRNAの構造や発現異常の原因と考えられた。よって、SHRのインスリン抵抗性のQTL領域には複数の有力な既知候補遺伝子があり、その他の新規遺伝子も含めて今後詳細な検討が必要である。
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