Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒瀬 顕 岩手医科大学, 医学部, 講師 (70244910)
嶋村 正 岩手医科大学, 医学部, 教授 (70162691)
澤井 高志 岩手医科大学, 医学部, 教授 (00125577)
宇月 美和 岩手医科大学, 医学部, 助手 (50305992)
|
Budget Amount *help |
¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 2000: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 1999: ¥100,000 (Direct Cost: ¥100,000)
Fiscal Year 1998: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
|
Research Abstract |
慢性関節リウマチ(RA)における関節破壊は滑膜組織が主役とされているが、我々は破壊される側である軟骨や骨側にも関節破壊を促す原因が生じていると考えている。平成10年度は滑膜組織内の細胞におけるmatrix metalloproteinase(MMP)-1,-2,-3,-8,-9,MTl-MMPmRNAの発現について検討をおこない、滑膜組織内の特に線維芽細胞様細胞における各MMPmRNAの発現を確認した。平成11年度はRAによる骨破壊部へ重点をおき、MMPsとさらにそれらの阻害酵素(TIMP-1,-2)について検討を加えた。その結果、骨を侵食しているリウマチ性肉芽組織ではコラーゲナーゼ群(MMP-1,-8,-13)やストロメライシン群(MMP-3)mRNAの発現は弱く、むしろゼラチナーゼ群(MMP-2,-9)とTIMP-2mRNAの発現が強かった。さらに同部では軟骨細胞、破骨細胞、骨芽細胞内においても強いMMP-2,-9,TIMP-2mRNAの発現が観察された。特に興味を引いたのは、軟骨細胞や骨芽細胞がみずから蛋白分解酵素の遺伝子を発現していることであった。平成12年度は我々が重視しているムチランス型関節炎(この関節炎では著明な骨破壊に比して、滑膜炎が軽度である)について2年目と同様の検討をおこなった。その結果、RAにおける通常の関節破壊にくらべムチランス型関節炎では軟骨細胞、破骨細胞、骨芽細胞におけるMMP-2,-9,TIMP-2mRNA陽性細胞の比率が統計学的に優位に高かった。また関節破壊部にみられた骨芽細胞における破骨細胞分化誘導因子(ODF/RANKL)も検討し、RANKL mRNAについてもムチランス型関節炎ではRAにおける通常の関節破壊にくらべ、陽性細胞の比率において優位差が認められた。本研究の一連の結果はRAにおける関節破壊は(特にムチランス型関節炎では)滑膜組織のみならず破壊される軟骨、骨側にも関節破壊を促す原因が生じているという我々の仮説を指示した。
|