Research Abstract |
我々はTNF-α遺伝子5'-フランキング(プロモーター・エンハンサー)領域において,日本人に比較的高頻度にみられる3カ所の新規の多型塩基部位(position-1,031(T to C transition,-1,031C),-863(C to A,-863A),-857(C to T,-857T))について報告した(Tissue Antigens1998;51:605-12.)。-1,031C/-863A alleleおよび-857Talelleは,多型を持たない-1,031T/-863C/-857Calelleに比し高い転写活性能を有しており,同多型が種々の刺激に対する個人のTNF-α産生能の違いに関与する可能性が示唆された。そこで次に,各種疾患患者におけるTNF-α遺伝子5'-フランキング領域の多型頻度を解析し,多型と疾患感受性について検討を進めている。また,各TNF-α遺伝子多型は特定のHLA allele(classI B-およびclassII DRBl-locus)と強い連鎖不平衡にあり,疾患感受性とTNF-α遺伝子多型・HLAの連鎖についても併せて検討した。 RAにおける-857T allele頻度はControl群に比し有意に高かったが(OR=1.74,p<10^<-6>-857T alleleは日本人RAにおける疾患感受性遺伝子HLADRB1^*0405alleleと強い連鎖不平衡にあり,-857T alleleと疾患の一次的相関は認めなかった。一方で,TNF-α遺伝子多型が疾患感受性よりも,疾患の臨床病態・重症度等により関連している可能性が示唆された。 同様にJRAでは,全身型でのみ-1,031C(OR:1.84,p=0.015),-863A(OR:1.83,p=0.022),-857T(OR=1.80,p=0.016)allele頻度が高かった。全身型患者において-857T多型はDRB1^*0405alleleと相加的に疾患感受性に働く可能性が示唆された。また,全身型JRAにおいて-1,031C/-863A allclcは,同多型と強い連鎖不平衡にあるHLADRBl^*0901alleleより強く疾患にリンクしており,一次的なRlsk Factorとなり得る可能性が示唆された。
|