Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1998: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Research Abstract |
患児の正常組織(血液細胞)等が得られている神経芽細胞腫凍結組織62pairを用いて以下の検討を行った。 1. 神経芽細胞腫の1番染色体短腕のloss of heterozygosity(LOH)の検討:23カ所のマイクロサテライトマーカーを用いて,lp21から末端までのLOH検索を行ったところ、36症例でLOHを認め、このうち31例の共通欠失領域はlp36.1-2であった。また、MYCN増幅、テロメラーゼ高活性の悪性度の高い腫瘍はlp32領域から末端までの広範囲に欠失していた 2. 神経芽細胞腫の1番染色体短腕上の癌抑制遺伝子の検討:LOHが検出された症例では,p73,hRAD54の発現をRT-PCR法で検索したが、LOHのない症例との差はなく殆どで発現を認め、神経芽腫でのこれらの遺伝子発現の関与は少ないと考えられた。 3. 刷り込み(imprinting)の検討:informed consentが得られ父母からのサンプルが得られた症例では,LOHの症例の欠失アレルを検索したが母親欠失が76%であった。 4. 臨床的検討:組織型、臨床経過・治療法・予後・腫瘍特性(MYCN増幅,発現,NTRK1の発現,DNA ploidy,など)との関連から詳細に検討したところ,lpの欠失領域がlp32に及ぶものが予後不良であり、この部に神経芽腫の悪性度を規定行いている遺伝子の存在が示唆された。以上から,lp Large deletiongが神経芽細胞腫の生物学的特性を反映し,この部に悪性度を規定している遺伝子の存在が強く示唆されたが、その候補遺伝子の同定まではいたらなかったが、刷り込み遺伝子の関与が強く示唆され、この方面からの検討により、近い将来、神経芽腫の癌抑制遺伝子の同定が期待できる結果であった。
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