Budget Amount *help |
¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 2000: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 1999: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 1998: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
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Research Abstract |
本研究計画の目標は,(1)すべての計算可能な記述法を考えた時の最短記述の長さとしてのKolmogorovの複雑さの存在,(2)すべての計算可能な確率分布を考えたときの最大確率分布としての万能確率分布の存在,(3)すべての符号を考えた時の最短符号の存在(Shannonの符号化定理),の3者の間に,本質的にどのような関係があるのかを明らかにすることであった。(1),(2)が確率の概念を全く含まないアルゴリズム的な概念であるのに対し,(3)は本質的に確率的な概念である。それにもかかわらずこの3者は,極めて類似の関係を持ち,その間に本質的な関係があるように思われる。この本質的関係を,3者の定義に共通に含まれる「語の長さ」の概念を一般化しその際の3者の振る舞いを分析することにより捕らえる,ということが,より具体的な目標であった。 この問題について本研究では,満足のゆく決定的な結果を得ることはできなかったが,少なくとも次のことが明らかにされた(Alexander Shen氏,Andrei Romashchenko氏との共同研究による):「語の長さ」の定義を,通常の定義から出発して次第に,語に含まれる0,1の役割を非対称にしてゆくと,ある時点で,Kolmogorovの複雑さは存在しないが万能確率分布は存在するようになる。従って,Kolmogorovの複雑さの存在を支えるメカニズムと万能確率分布の存在を支えるメカニズムは全く同一ではなく,後者のみが有効であるような領域が存在する。 この結果から,本研究の目的である問題は当初考えていたよりずっと深く,Kolmogorovの複雑さと万能確率分布が違った振る舞いを見せる正確な境界を明らかにすること,同様のことを万能確率分布と符号化定理の間の関係について考察することなど,色々な興味深い問題が今後の研究課題となる。
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