Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
粟生田 忠雄 新潟大学, 農学部, 助手 (10282998)
籾井 和朗 鹿児島大学, 農学部, 助教授 (40136536)
小葉田 亨 島根大学, 生物資源科学部, 教授 (60186723)
西山 壮一 山口大学, 農学部, 教授 (80036045)
北村 義信 鳥取大学, 乾燥地研究センター, 助教授 (80284008)
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Research Abstract |
カザフスタン共和国クジルオルダ州の旧コルフォーズにおいて8圃式輪作体系を採用している面積約700haの潅漑ブロックにおける水・塩収支の資料を収集した.従来,水田からの湛水が塩のリーチング効果をもたらし,隣接する農地の潅漑を賄うという利点が強調されていたが,現実には,水田の土性が重粘土の場合にはリーチング効果も十分でなく,また,排水路への排水,塩分の排除もあまり機能していないことが判明した.排水路の排水機能の強化と周辺農地の地表潅漑方式の導入が重要である. 現地の塩類集積農地におけるリーチングによる土壌改良資料を検討し,リーチング潅漑方式と潅漑水量,土性,亀裂等のマクロ間隙の存在によって,リーチング効率が大きく左右される結果を得た.これらの要素の影響度合いを明らかにするために,カラム実験を行い,同一水量を連続的に湛水する方式よりも,数回に分けて湛水する方式の方が効率がよく,それは,土中の水移動が不飽和の状態であることによるものであることが判った. 現地の主要作物,水稲の消費水量ならびに潅漑水量の実測データを比較した結果,1作期間に対して,それぞれ,2,400mm,4,250mmであった.水稲の蒸発散量は消費水量の約半分と推定され,地区内外への浸透排水量が著しく大きいことを示した.地区内の地下水位上昇ならびに地区外への排水量を抑制するための方法として,耐塩性植物を栽培することによる排水の再利用方法を検討した. 潅漑水による広域的な水,塩の挙動を明らかにするための有限要素法によるシミュレーションについて,プログラムアルゴリズム,入力パラメータを検討し,信頼できるプログラムを最終的に確立した.また,土壌への吸着ならびに脱着反応過程を考慮した土壌中の塩類の挙動に関するモデルの導入についても検討を行った.
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