Research Abstract |
神経・免疫・内分泌系相関における,臓器間,細胞間および細胞内情報伝達機構を,とくに新規情報伝達物質の関与という点,ならびに,加齢や遺伝子変異,環境ストレスに伴う病態,ならびに遺伝子診断,治療薬物の標的運搬法も考慮に入れた薬物の治療作用とその機序の点より,各研究分担者が研究し,企画・調査活動をするとともに,相互に密接な連絡をとって,本テーマについての基礎研究とさらに創薬に向けた戦略を討論した.すなわち,各班員が互いに連絡をとる一方,平成10年9月25日(金)に各班員が札幌に集まり,これまでの成果について報告し,また当課題について熱心な討論を行った.具体的には,神経・免疫・内分泌関連機構の生理と病態に関する研究に使用する病態モデルとして,老化促進モデルマウス(SAM),高血圧自然発症ラット(SHR),糖尿病マウス(IDDM/NIDDM),自己免疫疾患マウス(MRL),肝炎ラット(LEC)や担がんマウス(各種)などのほか,どのような新しい病態モデルを開発するか,どのようなモデル動物,細胞を使用すべきか,さらに,それらを使用し薬物治療とその合理的投与計画にどうアプローチするかについて調査・検討した.さらに,遺伝子診断,治療も考慮した新しい方法論,実験法をどのように導入すべきかについても予備調査し討論した.なお,このプロジェクトを以下の3グループに分けて取り組んだ.第1のグループは神経・免疫,免疫・内分泌,内分泌・神経のクロストークについて細胞間,細胞内情報伝達物質の作用と受容体応答の機能と機構とくに新規情報伝達物質とその応答の機能と機構に注目し最先端の研究の調査・検討を行った(野村靖幸,入村達郎,堅田利昭,工藤一郎,山内卓).第2のグループは神経・免疫,免疫・内分泌,内分泌・神経のクロストークをとくに病態の発症機序と病態モデル標本における動態,薬物作用機構についての第一線の研究の調査・検討を行った(長尾拓,大内和雄,中川秀夫,長友孝文,馬場明道).第3のグループは神経・免疫,免疫・内分泌,内分泌・免疫の情報伝達機構の正常と病態の機構に特異的に作用し治療作用を発現する薬物作用の詳細を解明し,さらに,これらの遺伝子診断,治療への応用の可能性と標的運搬法も考慮した投与法を検討し,医薬開発の戦略を調査・検討した(佐藤公道,乾賢一,杉山雄一,寺崎哲也,山本 格,渡辺 繁紀).本プロジェクトに取り組むためにまだ打ち合わせ会議の資料として,論文集を刊行した.
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