Project/Area Number |
10F00734
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 外国 |
Research Field |
Japanese history
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉田 早苗 東京大学, 史料編纂所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
QUINTER David 東京大学, 史料編纂所, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2010 – 2011
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2011)
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Budget Amount *help |
¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2011: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2010: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | 真言律宗 / 文殊信仰 / 叡尊 / 西大寺 |
Research Abstract |
平安時代末期から現れた鎌倉新仏教においては、指導者たちは京都・奈良に勢力を持ち貴族と深く結びついた旧仏教に対抗して、新たな社会連携の構築を目指した。その一人で真言律宗の宗祖である西大寺の叡尊の活動において、もっとも注目されることは宗教活動と慈善活動が一体化されていたことである。そうした宗教集団形成と弱者救済活動において核となったのが文殊信仰であった。それに加えて、朝廷および鎌倉幕府の指導者層との関係構築において、文殊信仰が果たした役割もまた無視することは出来ない。これらを明らかにすることは、当時の政治・社会・宗教等の研究に大きな意味を持つ。本研究では、宗教関係の文献にとどまらず、当時の貴族日記や鎌倉幕府関係などの史料を対象とすることにより、こうした宗教活動について多面的な研究にあたるとともに、基本文献の翻訳という、鎌倉時代の宗教活動の研究が端緒についたところである欧米において重要な海外発信も行った。すなわち、クインター助教授は叡尊の西大寺教団活動と文殊信仰に先行する存在として、平安末-鎌倉初期の法相宗の学僧として著名な僧侶貞慶について着目するという、これまでにない新たな視点から彼らの文殊構式を比較分析した。その成果である"Invoking the Mother of Awakening : An Investigation of Jokei's and Eison's Monju koshiki."(Japanese Journal of Religious Studies)において助教授は、法会の儀式次第の中で、文殊信仰と法華信仰、弥勒信仰などとの混合がみられることを明らかにし、そのことが当時の時代的特色であることを示した。当該論文においては基本史料として、両者の文殊講式の英訳も行った。こうした研究を踏まえてクインター助教授は、文殊信仰を中心として、社会の最下層の人々に対する救済から、当時の支配階級である朝廷・幕府にまで広く結びつきを持った叡尊と教団の活動について考察する、著書"From Outcasts to Emperors : Shingon Ritsu and the Manjusri Cult in Medieval Japan(仮題)"を執筆中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度の研究を基礎に、叡尊のみならず彼の先行者についての研究を進め、両者の比較により、これまで着目されなかった、いわゆる鎌倉新仏教と旧仏教とされる奈良の教団の間で、相互に影響を与えていたことを明らかにするとともに、基本史料の英訳を行った、
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Strategy for Future Research Activity |
クインター助教授は、本研究の成果を踏まえて、著書"From Outcasts to Emperors : Shingon Ritsu and the Manjusri Cult in Medieval Japan(仮題)"を執筆中である。今後は叡尊に先行する僧侶・教団の活動に研究を進めるとともに、当時の時代性の分析も課題としている。
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