微細加工を用いた接合によるスピン三重項奇パリティ超伝導の研究
Project/Area Number |
10J00355
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
物性Ⅱ(磁性・金属・低温)(実験)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中村 壮智 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2010 – 2011
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2011)
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Budget Amount *help |
¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | スピン三重項超伝導 / 超伝導近接効果 / ジョセフソン効果 / トポロジー |
Research Abstract |
本研究の対象であるSr2RuO4はスピン三重項超伝導体の最有力候補であり、これまでの研究からその超伝導波動関数の軌道はpx+ipyの対称性で表されるカイラルp波であると考えられている。一方Sr2RuO4とRuが共晶になったSr2RuO4-Ru共晶体では、Ru近傍のSr2RuO4でその超伝導転移温度が約2倍の3K程度に上昇することが知られている。われわれは昨年度にPb/Ru/Sr2RuO4超伝導接合の研究から、Sr2RuO4-Ru共晶体において超伝導位相の空間的なトポロジーの変化が存在することを示した。本年度はその結果に基づき、過去に行われたPb/Sr2RuO4/Pb接合の研究の再解釈を行った。Pb/Sr2RuO4/Pb接合ではSr2RuO4超伝導転移と共に臨界電流が抑制される振る舞いが報告されており、これはSr2RuO4の奇パリティ超伝導に起因する0-π転移が原因であると考えられてきた。しかし我々はこの振る舞いもSr2RuO4-Ruにおける超伝導位相のトポロジーの変化がその抑制の原因であると考え、顕微鏡観察と集束イオンビームを用いた微細加工により、Ruの配置を完全に制御したPb/Sr2RuO4/Pb接合を複数作成し、その導電特性を比較した。その結果、Pb/Sr2RuO4/Pb接合の接合特性はPb間のRuに依らず同じ振る舞いをし、臨界電流はPb/Sr2RuO4界面によって決まっていることを明らかにした。これはPb/Sr2RuO4/Pb接合の接合特性は本質的にPb/Ru/Sr2RuO4接合と同じものであることを示しており、Sr2RuO4-Ruにおける超伝導のトポロジーの変化が接合特性を支配していることを意味する。これは過去の実験解釈を覆し、より本質に近い解釈を与えることができた重要な成果である。
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Report
(2 results)
Research Products
(12 results)