Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
転写因子DAF-16は、線虫における重要な寿命制御因子であり、DAF-16による転写活性化は線虫の寿命延長を引き起こす。また、DAF-16はインスリンシグナル伝達系路の下流キナーゼAktからリン酸化を受けることにより、その転写活性化能が抑制される。私は、アルギニンメチル化修飾がDAF-16のリン酸化を阻害し、機能を亢進させるという仮説をたて、実験を遂行してきた。まず、寿命を指標にした遺伝学的解析の結果は、PRMT-1がDAF-16の機能亢進を介して、寿命延長に寄与するということを示した。次に、私は生化学的な手法を用いて、PRMT-1によるDAF-16の機能亢進メカニズムを解析した。その結果、以下のことを明らかにした。(1)PRMT-1はDAF-16のAKTリン酸化認識配列(RxRxxS/T)内のアルギニン残基をメチル化した。(2)PRMT-1によるDAF-16メチル化は、DAF-16の機能を抑制するAKTリン酸化を阻害した。(3)PRMT-1は、DAF-16の標的遺伝子の発現を亢進させた。これらの結果から、PRMT-1によるメチル化は、DAF-16のリン酸化を阻害することで、DAF-16の転写活性化能の亢進を引き起こし、線虫の寿命延長に寄与していることが明らかになった。私は寿命を指標にした遺伝学的解析と生化学的な手法を両方用いることにより、アルギニンメチル化とAktリン酸化の修飾間クロストークが、寿命延長に寄与していることを初めて示した。
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Cell Metabolism
Volume: 13 Issue: 5 Pages: 505-516
10.1016/j.cmet.2011.03.017
Journal of Receptors and Signal Transduction
Volume: 31 Pages: 168-172