Project/Area Number |
10J00424
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Ecology/Environment
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
石崎 智美 北海道大学, 大学院・環境科学院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2010 – 2011
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2011)
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Budget Amount *help |
¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | 食害 / 誘導防衛 / 植物間コミュニケーション / 植食者誘導性揮発性物質 / 国際情報交換 / アメリカ合衆国 / 形質変化 / 季節変動 / 遺伝的近縁度 / クローン成長 / 実生 / Artemisia tridentata |
Research Abstract |
キク科ヨモギ属のsagebrushは食害を受けると被害部位から強い匂いを放出し、自らおよび近隣個体の防衛反応を誘導する(植物間コミュニケーション)。本研究では植物間コミュニケーションの生態学的役割を明らかにすることを目的とした。 匂い受容後に誘導される防衛反応機構の詳細を解明するため、匂い受容後の葉形質の変化、および、植食者(アブラムシ)の選好性の変化を測定した。その結果、匂い暴露処理を行った枝では、処理の2か月後に植食者の選好性が低下し、水分含量が減少することが明らかになった。今後は、他の形質の変化についても調査を行い、防衛機構の詳細を明らかにする予定である。 また、sagebrushでは、匂い受容の時期によって誘導される防御反応の強さが異なり、展葉期に匂いを暴露した場合に最も食害が減少することが示されている。そこで、展葉期(5月)または花序形成期(7月)における、食害または匂いの受容がsagebrushの成長および種子繁殖に与える影響について調査を行った。本研究では、カリフォルニア州の野外集団において、隣接して生育する2個体を選び、そのうち片方の個体に展葉期または花序形成期に個体あたり25%の葉を切除する摘葉処理を行った。その後、結実期(9月)に摘葉個体および無傷の隣接個体(匂い暴露個体)の成長量と花柄乾燥重量を測定した。その結果、摘葉処理を行った個体では、展葉期の処理によって成長量が減少することが明らかになった。従って、展葉期の食害は個体の適応度を低下させる可能性が高く、この時期に防衛反応を強く誘導することが重要であると考えられた。一方、匂い暴露処理を行った個体では、花序形成期の処理により花柄乾燥重量が増加した。以上のことから、sagebrushは、食害を受ける時期により、匂いに対する反応を変化させ適応度の低下を防ぐことが示唆された。
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