T2K実験における電子ニュートリノ出現モードの発見
Project/Area Number |
10J00437
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
素粒子・原子核・宇宙線・宇宙物理(実験)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
家城 佳 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2010 – 2012
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2012)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2012: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | ニュートリノ / ニュートリノ振動 |
Research Abstract |
私の研究目的は、T2K実験において電子ニュートリノ出現モードの発見を行うことである。2011年6月、T2K実験は初の解析結果を公表し、電子ニュートリノ出現モードの徴候を観測したことを明らかにした。更にその後データ統計を加えて解析方法も改良することにより、2012年6月に京都で開かれた国際学会では電子ニュートリノ出現の証拠を捉えたことを発表した。また海外の原子炉を用いたニュートリノ振動実験でも反電子ニュートリノ消失モードが観測された。これはT2K実験が示唆した振動角θ13の値を裏付けるものであり、θ13が有限の値を持つことが確実となった。 これらの成果はニュートリノ振動の全容解明に対する大きな進歩であった。しかし、ニュートリノ振動はまだこれで全てが解明されたわけではない。θ13が有限であることは、レプトンセクターでのCPの破れが存在している可能性があることに繋がっている。このCPの破れを測定することは、物質優勢宇宙の謎を解明する上で重要な手掛かりとなる。CPの破れの度合いを測定するには、ニュートリノ振動をこれまで以上の精度で測定することが必要である。 CPの破れの測定を実現するには、更なるデータ統計をためるだけではなく、測定における系統誤差を削減して少しでも測定精度を上げる必要がある。現在の振動解析において最大の系統誤差要因となっているのは、ν反応に伴って生成されるπ中間子の二次的反応の不定性である。これを改善するため、私はシンチレーションファイバーを使用した新型の検出器を開発し、TRIUMF研究所(カナダ)のπビームラインにおいて荷電π中間子反応測定実験を行った。ここで私はπ中間子と原子核の反応を過去の実験の約半分の不定性で測定することに成功した。私は更にこの結果を利用し、T2K実験の物理シミュレーションのπ中間子反応モデルのパラメータの最適化を行うことで、モデルのパラメータ不定性を半分以下に削減することに成功した。 私はこれらの改善を踏まえ、また2012年度に新たに取得したデータ統計を追加することで、新たにニュートリノ振動解析を行っている。本解析により、世界最高の精度で電子ニュートリノ出現モードの測定結果が得られることが期待されている。これが実現されれば、今後のCP位相δの測定に向けた大きな前進となる。
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Report
(3 results)
Research Products
(15 results)