密度行列繰り込み群法を超える行列積変分状態最適化法の構築
Project/Area Number |
10J01209
|
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
数理物理・物性基礎(理論)
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
上田 宏 大阪大学, 基礎工学研究科, 特別研究員(PD)
|
Project Period (FY) |
2010 – 2011
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2011)
|
Budget Amount *help |
¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
|
Keywords | 密度行列繰り込み群 / 行列積状態 / 変分法 / 量子スピン系 / 計算物理 / テンソル積状態 / ハイゼンベルグ模型 / アルゴリズム |
Research Abstract |
高次元量子スピン系の熱力学的極限における物理量を精密に評価する数値計算手法の開発は、多様な物理を理解する1つの手段となるため重要である。本研究の目的は、1次元量子スピン系で広く用いられる密度行列繰り込み群(DMRG)法を構成する行列積状態(MPS)の解析および拡張を行い、高次元量子スピン系へ適用可能なMPS最適化法の提案と検証することである。本年度は下記3点の課題について取り組み、それぞれに進展が得られた。 1、系の並進対称性が整合周期で破られる際に適切なMPSを構成する指針を与えた初年度の研究成果をさらに発展させ、今年度、本研究は非整合周期のスピン回転を利用した非整合周期MPSの提案し、幾つかの低次元量子スピン系においてその効果を検証した。その結果、非整合周期MPSの周期が相関関数の空間変調と同調する際によい変分状態になることが示された。本アイデアは、MPSのみならず多様な数値計算手法に適用できる重要なものである。 2、MPS本来の精度を極限まで引き出す方法として、初年度に性質を議論した双曲変形を、複数の量子スピン系に対して適用することに成功させた。非可換DMRG法を利用した励起準粒子の境界散乱長の評価を含んだ解析によって、S=2ハイゼンベルグ鎖の励起ギャップを従来よりも3桁上まわる精度で決定した。「S=2のギャップはDMRG法によって精密に見積もることが難しい」という先入観を覆したことからも学術的意義は大きい。 3、申請者らは、高次元量子系の精密解析を実現する方法として、MPSおよびその拡張である種々のテンソルネットワーク状態に、系の状態の対称性を考慮した射影演算子を施しながら最適化することを考案し解析を行った。複数の少数サイト量子スピン系において本ネットワーク状態による高精度計算実施が可能であることを示した。
|
Report
(2 results)
Research Products
(27 results)