Project/Area Number |
10J01280
|
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Inorganic materials/Physical properties
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
赤松 寛文 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(PD)
|
Project Period (FY) |
2010 – 2012
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2012)
|
Budget Amount *help |
¥2,800,000 (Direct Cost: ¥2,800,000)
Fiscal Year 2012: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2011: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2010: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
|
Keywords | アモルファス / 磁気的性質 / 誘電的性質 / 希土類元素 / 希土類金属 |
Research Abstract |
本研究で着目しているEuMO3(M=Ti,Zr,Hf)の電子構造と磁性の関係について、第一原理計算を用いて調査した結果、Eu 4fスピンに働くM nd状態(それぞれMTi,Zr,Hf,n=3,4,5)を介した反強磁性的超交換相互作用がMO6八面体の回転に伴い強くなるという新奇なスピン―格子相互作用の存在を明らかにした。具体的な結果を以下に示す. 計算は、HSEO6ハイブリッド汎関数を用いて、平面波基底PAW法(VASP code)により行った。立方晶EuZrO3において、考慮した格子体積の範囲では第一近接相互作用J1は正の値(強磁性的)を示し、磁気基底状態は強磁性である。一方で、斜方晶EuZrO3においては、Jlは負の値(反強磁性的)を示し、磁気基底状態は反強磁性である。この結果は、立方晶EuZrO3ではEu 5d状態を介したEu 4fスピン間の間接強磁性的相互作用が支配的であるが、斜方晶EuZrO3においてはZr4d状態を介した反強磁性的超交換相互作用が支配的であることを示唆している.3次の摂動論によると、この超交換相互作用はJ∝σdf4/△E2と表現される。立方晶および斜方晶EuZrO3の電子状態密度を調べた結果、△Eはほとんど変わらないことがわかった。 そこでσdfの格子依存性を調べるために、立方晶および斜方晶EuZrO3のEu 4fバンドの電荷密度を調べた。Eu原子周りだけでなくZrおよびO原子周りにも電荷密度が現れることから、Eu 4f状態はZr 4dおよびO 2p状態と相互作用していることがわかった。Zr 4d状態に注目すると、立方晶EuZrO3ではZr原子周りに電荷密度が観察できないが、斜方晶EuZrO3ではZr 4d軌道がEu原子に向かって広がっていることがわかった。この結果は、斜方晶EuZrO3ではZrO6八面体の回転により、Zr 4d軌道がEu原子の方に向けられるためにσdfが大きくなり、Eu 4f状態とZr 4d状態の相互作用が強くなることを示唆している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本申請課題における目的の一つである、Eu2+系化合物の電子構造と磁気的性質を第一原理計算により明らかにすることができ、さらには磁性、電子構造、原子構造の非常に興味深い関係についても明らかにすることができた。また、Eu2+系酸化物ガラスが非常に高いファラデー効果を示すことを明らかにした。それらの結果は学術誌に投稿し採択されており、本研究課題の目的を充分に達成できていると言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
Eu2+系酸化物ガラスが非常に高いファラデー効果を示すことが明らかになった。また、第一原理計算により、Eu2+系ペロブスカイト化合物の磁性と電子構造の関係を調べている中で、その構造と磁性の関係についても興味深い知見を得ることができており、今後もアモルファス物質に加えて、結晶化合物についても精力的に研究を進めていく予定である。
|