Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2012: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Research Abstract |
本研究は,固体酸化物形燃料電池(SOFC)の電極に用いられる多孔質体のナノスケール微構造が電極性能におよぼす影響を解明するとともに,電極性能や耐久性能の向上のための指針を得ることを目的としている.本年度はこれまでに開発した電極数値モデルのさらなる改良を行うとともに,蓄積してきた知見をもとに電極微構造最適化のための指針を提案した.(1)Sub-grid-scaleモデルの改良:複雑な多孔質内における3次元数値解析を行う際に,計算格子サイズよりも小さなスケールの構造情報をモデル化することで,より幅広い格子サイズにおいて,正確に多孔質構造を表現することに成功した.これにより計算精度の向上と計算負荷の低減を同時に達成した.電極スケールの解析を,より広い解析対象,たとえばセルスケールのモデルに組み込むことを可能にした.(2)有効反応厚さの推測:電極反応は電極―電解質界面近傍において活発に起こると考えられており,その部分は有効反応領域と呼ばれる.その厚さに関する知見は,電極全体の厚さや微構造の最適化を考える上で重要である.電極中の有効酸化物イオン伝導度と電気化学反応速度との比からイオン伝導の特性長さを定義し,有効反応厚さとの関係を調べた.有効反応厚さは微構造や作動条件によって変化するが,特性長さという観点から整理できることを明らかにした.電極設計パラメータとしての特性長さの利用が期待される.(3)微構造最適化のための指針を提案:これまでに得られた微構造と性能の相関に関する知見を総動員し,電極性能向上のための指針を提案した.電極中の電子伝導パスを確保することで電極―電解質界面近傍に有効反応サイトを確保した上で,電極反応中の律速過程である酸化物イオン伝導度を向上させることが性能向上に有効であることを示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は最終年度ということで,これまでに得られたSOFCの電極微構造に関する知見を総まとめし,電極性能向上のための指針の提案を行った.多孔質微構造に関する知見と}電気化学測定や数値シミュレーションから得られた電極中の律速過程に関する知見から,より効果的に電極性能向上を目指す道筋を立てることができた.またその中で,3次元構造を用いた数値計算一般に適用することが可能なモデルを開発することができたため,構築したツールや得られた知見を他の分野へ適用することも期待できる.
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