Project/Area Number |
10J01461
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Chemical pharmacy
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
上田 善弘 京都大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2010 – 2012
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2012)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2012: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | 有機分子触媒 / 天然物全合成 / 位置選択性 / アシル化 / 糖 / グルコピラノシド / 水素結合 / ポリオール / 求核触媒 / グルコース / ライブラリー / アルドール |
Research Abstract |
糖類はアミノ酸と並んで生体高分子の主要な構成成分の一つであり、多様な生体内反応に関わっている。糖が関与する生物学的現象の解明やそれに基づく医薬品開発には糖関連物質の精密合成が必須である。従来の合成法では多段階の保護一脱保護を経て結合形成を行う水酸基を区別するのが定法であったが、報告者等は糖水酸基の直接的位置選択的官能基化に取り組み、現在までに有機分子触媒による無保護グルコピラノシドの一段階位置選択的アシル化法を開発している。本研究課題では直接的位置選択的官能基化に基づく糖関連物質の精密且つ効率的合成法の開発に取り組み、前年度までに触媒的位置選択的アシル化を鍵とするアシル化配糖体multifidoside A、Bの初の全合成を達成し、位置選択的アシル化反応が天然物の全合成終盤にも適用可能である等、高い一般性を有していることを明らかとした。今年度は本法の適用範囲のさらなる拡大を目的とし、再度位置選択的アシル化条件の精査を行った。その結果、本反応の位置選択性発現には水素結合が鍵であるため、触媒一基質問の水素結合を阻害する高極性溶媒の使用は避けられてきたが、10%程度の高極性溶媒(DMSO、DMF等)共存下でも位置選択性が発現するという興味深い知見を得た。これにより高極性化合物であるポリオール類の溶解性の問題を大幅に改善することができ、水酸基無保護の天然物wallichosideからmultifidoside A、Bへの位置選択的アシル化による一段階変換を実現することができた。さらに類縁体multifidoside Cについても天然物pteroside Bに本手法を適用することで、効率的に初の全合成を達成した。このように本合成法は高い一般性を有しており、アシル化前駆体天然物が天然から容易に得られる場合は究極の半合成法となり得る等、従来の関連物質の合成法とは一線を画する。さらに天然物とは異なるアシル基を導入することで簡便に誘導体合成を行うことができ、構造活性相関研究にも適した手法を開発することができた。
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