超音波刺激を利用した標的細胞選択的遺伝子導入技術による革新的治療システムの開発
Project/Area Number |
10J01875
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Physical pharmacy
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Research Institution | National Institute of Health Sciences (2011) Kyoto University (2010) |
Principal Investigator |
運 敬太 国立医薬品食品衛生研究所, 薬品部, 研究員
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Project Period (FY) |
2010 – 2011
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2011)
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Budget Amount *help |
¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | siRNA送達 / 超音波応答性マンノース修飾リポソーム/siRNA複合体 / 細胞間接着分子(ICAM-1) / 超音波照射 / 抗炎症治療 / 遺伝子導入 / 超音波応答性マンノース修飾リポソーム/核酸複合体 / 癌転移・再発予防 / DNAワクチン / メラノーマ |
Research Abstract |
薬剤性肝炎や虚血再灌流性肝傷害は、臨床における薬物治療や生体肝移植等の外科手術時における有害事象として認識されている。これら各種肝炎・肝傷害は薬物投与又は外科的処置に伴うNF-κB活性化、及びそれに起因した炎症性サイトカイン産生によって惹起されるが、当該炎症反応発生初期には、細胞間接着分子(ICAM-1)が肝臓の血管内皮細胞上に発現誘導され、好中球等の血管内皮細胞との接着、回転、並びに組織内浸潤に関与することが報告されている。従って、肝血管内皮細胞におけるICAM-1発現を効率的に抑制することで炎症反応の重症化の軽減が期待される。私がこれまでに開発した超音波応答性マンノース修飾リポソーム/核酸複合体(Man-PEG_<2000> bubble lipoplex)と超音波照射を利用した核酸導入法は、肝臓におけるマンノース受容体発現細胞である肝血管内皮細胞やクッパー細胞に対し、選択的かつ高効率に核酸化合物を送達可能である。そこで本年度は、Man-PEG_<2000> bubble lipoplexと超音波照射を用いて、ICAM-1に対するsiRNAを肝血管内皮細胞内に効率的に送達することによる抗炎症治療効果を評価した。ICAM-1 siRNAを用いて超音波応答性マンノース修飾リポソーム/siRNA複合体を作製し検討を行った結果、本製剤の静脈内投与と体外からの超音波照射の併用により、リポポリサッカライド処理や虚血再灌流操作に伴い、肝臓において惹起される急性炎症時のICAM-1発現や好中球等の組織内浸潤、並びに炎症性サイトカイン産生が顕著に抑制された。さらに肝毒性の指標である血清中AST/AIT活性の上昇も顕著に抑制されることが示され、Man-PEG_<2000> bubble lipoplexを利用したICAM-1 siRNA送達が、肝臓における急性炎症の抑制に有効であることが示された。本方法を用いた抗炎症療法は様々な炎症反応に対して広く適応できる可能性を秘めているので、炎症反応が懸念される疾患治療に先立ち、予め本方法によりICAM-1 siRNAを送達することで予期せぬ炎症反応の抑止が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究計画は、超音波刺激を利用した標的細胞選択的核酸送達法を炎症性疾患治療に応用することである。当該研究計画に従い、ICAM-1に対するsiRNAを当該方法を用いて肝血管内皮細胞に送達することで、様々な急性肝炎モデルにおいて優れた抗炎症効果が得られることを見出し、提案研究課題を十分に遂行できた。さらに一連の研究成果は、既に学術論文、並びに学会発表等を通じて広く社会に発信しており、以上のことから、概ね当初の計画通り研究が進展したと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の基盤技術として用いた超音波応答性マンノース修飾リポソーム/核酸複合体と外部からの超音波照射を利用した核酸送達システムは、リガンドに依存しない方法であると考えられるため、製剤に修飾する標的指向性素子を様々な分子に置換することで広範な標的細胞への効率的核酸送達法への発展が期待される。
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Report
(2 results)
Research Products
(9 results)