分裂酵母における原核生物型機械受容チャネルの動作機構と生理機能の解明
Project/Area Number |
10J02008
|
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Biophysics
|
Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
中山 義敬 東京学芸大学, 連合学校教育学研究科, 特別研究員(PD)
|
Project Period (FY) |
2010 – 2012
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2012)
|
Budget Amount *help |
¥2,800,000 (Direct Cost: ¥2,800,000)
Fiscal Year 2012: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2011: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2010: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
|
Keywords | 機械受容チャネル / MscS / 低浸透圧ショック応答 / 分裂酵母 / 浸透圧応答 |
Research Abstract |
機械受容チャネルは低浸透圧ショック応答においてセンサー分子としてはたらく。真核生物の浸透圧応答機構を明らかにするために分裂酵母の機械受容チャネルMsy1とMsy2の機能解析を行った。分裂酵母のmsy1とmsy2の遺伝子破壊株は低浸透圧ショック後に細胞の生存率が著しく低下することから、Msy1とMsy2の機能は低浸透圧ショック応答に関与するものと考えられる。今年度は以下の研究計画を行った。 1).蛍光観察法と超遠心膜分画法を用いて、Msy1とMsy2の細胞内局在を調べた。 C末端領域に蛍光ラベルをして、顕微鏡下で細胞内局在を調べた結果、Msy1は核周辺小胞体、Msy2は細胞膜直下の小胞体にそれぞれ局在していることを明らかにした。またスクロース密度勾配法を用いて膜分画を行い、Msy1とMsy2の局在が小胞体にあることを確かめた。これらの結果は、Msy1とMsy2が小胞体で浸透圧を感知していることを示唆する。 2).Ca^<2+>イメージングを用いて、Msy1とMsy2の低浸透圧ショック応答における機能を調べた。 低浸透圧ショック時にどのようにはたらくのかを調べるためにCa^<2+>センサータンパク質であるYellow Cameleonを用いたCa^<2+>イメージングを行った。分裂酵母は低浸透圧ショック時に細胞の膨張に伴って、細胞内Ca^<2+>レベルを上昇させた。この細胞内Ca^<2+>レベルの上昇はmsy1-^msy2^-遺伝子破壊株において、異常に高いことを明らかにした。これはMsy1とMsy2は細胞内Ca^<2+>レベルの制御にはたらくことを示唆している。 上記により、分裂酵母のMscSホモログが小胞体膜上に局在し、低浸透圧ショック応答時に細胞内Ca^<2+>濃度を制御していることが明らかにされた。大腸菌において機械受容チャネルMscSは、細胞膜上で低浸透圧ショックによる細胞の膨張の感知にはたらく。一方で、分裂酵母のMsy1とMsy2は細胞内オルガネラ膜上で低浸透圧ショック応答にはたらいている。これは、真核生物の浸透圧応答は細胞膜だけではなく、細胞内オルガネラも浸透圧を感知していることを示している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した「研究の目的」の項目をすべて成し遂げて、研究をまとめて、分裂酵母の2つのMscSホモログ(Msy1とMsy2)の機能が小胞体で低浸透圧ショック応答時の細胞内Ca^<2+>レベルの変化にはたらいていることを証明した。研究成果はNat.Commun.誌に論文発表した。これらの結果から、研究目的の達成に向けて順調に進展しているといえる。
|
Report
(3 results)
Research Products
(11 results)