新規幹細胞マーカーDclk1を利用した大腸癌治療の基礎的検討
Project/Area Number |
10J02434
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Gastroenterology
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中西 祐貴 京都大学, 医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2010 – 2012
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2012)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2012: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | 消化管幹細胞 / 大腸癌 / 癌幹細胞 / Dclk1 |
Research Abstract |
研究代表者らは消化管の幹細胞マーカー候補として報告されているmicrotuble-associated kinase、doublecortin and CaM kinase-like-1(以下Dclk1)に注目し、正常腸管および腸腫瘍における役割の解析を行っている。平成24年度は以下の実験を中心に行った。 1.Dclk1-CreERT2/Rosa26R/ApcMinマウスを用いた腸腫瘍におけるlineage tracing解析. 昨年度(平成23年度)に作出に成功したDclk1-CreERT2/Rosa26R/ApcMinマウスにタモキシフェンを投与し、lineage tracing解析を行った。非常に興味深いことに、正常腸管とは異なり、タモキシフェン投与7日後には、腸腫瘍全体,が青い細胞、すなわちDclk1+細胞とその子孫細胞によって置き換えられてしまった。経過を追ったところ、タモキシフェン投与1日後は腸腫瘍中でDclk1+細胞のみが青く散在性に染色された。時間が経つにつれて、次第に腫瘍底部のDclk1+細胞から管腔側に向けて青いlineageのリボンが形成されていき、5~7日後にはほぼ腫瘍全体が青い細胞によって置き換えられた。そして、この青い腸腫瘍は、観察可能であったタモキシフェン投与105日後までそのまま残存していた。この結果から、腸腫瘍中のDclk1陽性細胞は「自己再生能」と「子孫細胞供給能」をあわせ持つ腫瘍幹細胞であることが明らかになった。 2.Dclk1陽性細胞のアブレーションが正常腸管および腸腫瘍に及ぼす影響についての検討. さらに、Dclk1陽性細胞を標的とする抗腫瘍治療への発展について検討するため、Cre誘導下にジブテリアトキシン受容体を発現させるRosa26-iDTRマウスをDclk1-CreERT2/Rosa26-LacZ/ApcMinマウスと交配し、正常腸管および腸腫瘍においてジフテリアトキシン投与によるDclk1陽性細胞の選択的障害を行った。結果、正常腸管には障害を及ぼさず。腸腫瘍のみが退縮あるいは消失した。 以上の結果よりDclk1は腸腫瘍幹細胞の特異的マーカーであると考えられ、今後Dclk1陽性の腫瘍幹細胞を標的とする治療への発展が期待される。
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Report
(3 results)
Research Products
(11 results)