Budget Amount *help |
¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Research Abstract |
本研究は,ホイスラー合金強磁体薄膜に対する適切な非磁性体スペーサー層材料を検討することを目的として平成22年度より開始された.従来,スペーサー層には伝統的に銅が用いられてきたが,22年度実施の実験的調査により,格子整合性およびスピン依存散乱の観点から,銀が相当よいスペーサー層材料であることが明らかとなった.23年度はさらに銀スペーサーを用いたCPP-GMR薄膜についてより詳細な検討をおこなった. その背景として,ハードディスクドライブ(HDD)のための再生センサー応用が重要な出口と位置づけられる.HDDの記録密度の向上はデータストレージのための消費電力の低減に直接的にインパクトがある.そのため,超高記録密度HDDの再生センサーの開発は重要な技術課題である.現在の再生センサーはスピンバルブ構造を用いているが,実現できる磁気ビット分解能は限界に近づいている.すなわち,より高い記録密度に対応できる,新たなセンサー構造の開発が課題である.その一つの可能性として提案されているものは3層膜センサーと呼ばれるもので,スペーサー層を介し反強磁性的に層間交換結合したCPP-GMR膜を用いるものである.Co,Feといった従来の強磁性材料における反強磁性結合は広く知られているが,これでは高い磁気抵抗値は得られない。 この点に着目し,反強磁性層間交換結合をホイスラー合金系で得ることを目指した。昨年度の成果より高い磁気抵抗値が得られることが分かっている,Co2Fe(Al0.5Si0.5)ホイスラー合金と銀スペーサー層を用いたCPP-G駅素子において,スペーサー層の膜厚さをオングストローム単位で制御し,適切な熱処理を施すことで反強磁性結合を見出した.これを用いたCPP-GMR素子のMRおよびノイズ特性評価したところ,低バイアス電流印加時に30%程度の磁気抵抗比を示し,また1×10^8A/cm^2という非常に大きな密度のバイアス電流を流した場合でも,外部磁場に対し線形な抵抗応答かつ低ノイズというセンサーとして必要とされる特性を示すことを見出した.またセンサーの総膜厚は12nm以下であり,この3層膜CPP-GMR素子を用いることで,超高密度HDDに対応しうる高分解能かつ高S/Nの再生センサーが実現できると考えられる.
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