電子移動を担う遷移金属結合タンパク質の計算科学的研究
Project/Area Number |
10J02555
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Biophysics
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
姜 志[ヨン] (2011) 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 特別研究員(DC2)
姜 志〓 (2010) 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2010 – 2011
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2011)
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Budget Amount *help |
¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | ハイブリッドQM/MM計算 / 電子状態 / 電子伝達系 / シトクロム酸化酵素 / 分子動力学 / Generalized Hybrid Orbital / Wannier Function Center / プロトン輸送 |
Research Abstract |
本研究の目的は,計算科学的手法により遷移金属結合タンパク質等における生物機能のメカニズムを理論的に解明する点にある。本年度は、複雑な生体内遷移金属イオン結合サイトの電子構造をより単純化して解析するために、昨年度開発したWannier Function Center(WFC)計算プログラムを、シトクロム酸化酵素(CcO)のCu_Aサイトなどに適応した。その結果、Cu_Aサイトの電子構造が機能的二重構造を有することを示した。すなわち、プラットフォームとしてCu_Aサイトの骨格を担う原子と、微妙な機能的制御をもたらす原子群とのふたつの部分から成り立っていることが分かった。また、T1リパーゼの活性部位に存在するNa^+イオンと芳香環のつくる結合(Na^+-π相互作用)に着目し、高度な電子構造計算法を用いてそのポテンシャル場を解析した。これをさらに分子動力学計算と組み合わせて解析した結果、Na^+イオンを水分子に置換した場合には、T1リパーゼの活性部位の立体構造が不安定になることが分かった。X線結晶構造解析による電子密度図のみでは、Na^+イオンの存在を断言することが困難であったが(水分子の可能性が否定できない)、こうした力学的構造安定性の解析によって、Na^+-π相互作用の機能的な役割を含め、その存在が明らかになった。これにより、「Na^+-π相互作用が親水性および疎水性アミノ酸残基を架橋してタンパク質の機能構造単位を形成している」ことを明らかにした。さらには、昨年度に引き続きハイブリッドQM/MM領域の境界をより高精度に取り扱うための理論であるGeneralized Hybrid Orbital(GHO)法の導入を、この計算技術の専門家であるM.Field博士ら(フランス)と推進した。また,電子構造自体の時間発展を追跡する「時間発展電子密度汎関数法(TDDFT)」をタンパク質構造のダイナミクスの解析に応用した。また、GatCABにおけるダイナミクスを解析し、酵素分子内部をアンモニア分子が通過する経路を見出した。またその入り口には、世界最小の逆止弁が存在することを合わせて見出した。
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Report
(2 results)
Research Products
(29 results)