児童期・青年期における表出的・非表出的向社会的行動の生起プロセスと発達的変化
Project/Area Number |
10J02820
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Educational psychology
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山村 麻予 大阪大学, 人間科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2010 – 2012
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2012)
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Budget Amount *help |
¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2012: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
Fiscal Year 2011: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
Fiscal Year 2010: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
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Keywords | 向社会的行動 / 発達 / 場面想定法 / 非表出的 / 児童期 / 青年期 / 発達的変化 / 幼児期 / 発達心理学 / 共感性 / 教育心理学 |
Research Abstract |
本研究の目的これまで向社会的行動研究で焦点のあてられてきた、具体的でわかりやすい表出的行動に対し、外部からの確認は難しいが他者への思いやりによって生起している行動を非表出的行動と定義し、その生起に関連する要因および認知、発達的変化について明らかにすることであった。 研究内容昨年度までに行った質問紙による量的調査にとどまらず、本年度の計画は非表出的行動が第三者からどのように認知されるのか、また、被援助者の立場からどのような行動が望ましいと考えられるのかといった質的側面について検討した。 具体的には、小学生および大学生を対象に実施した向社会的行動の適切性に関する調査において、自由記述欄を設け、「非表出的行動が望ましいと思う場面・状況、そう考える理由」について詳細な分析を行った。その結果、宿題(自分でやるべきもの)などの社会的ルールが明確な課題については、小学生では過剰援助は批判的に認知され、大学生では非表出的行動が非難される傾向にあることや、悲嘆場面などの個人的要因が強い場面では、小学生は感情的な理由に基づいて表出的行動を生起させるが、大学生はその背景や個人の価値観を優先して非表出的行動が適切だと判断していることが明らかになった。さらに、非表出的行動(援助しない)ことがなぜ"ダメ"なのかを調査参加者に尋ねたところ、その多くは規範的理由(行動しないなんてひどい、放っておくのは冷たいなど)を挙げ、被援助者をとりまく要因に目を向けるよりも、教育によって学んだ紋切り型の考え方が優先されることが示された。 本研究の意義・重要性「援助すること」「声をかけること」など、表面化しやすい具体的行動についての研究が行われてきたが、本研究において「待っていること」「(あえて)援助しないこと」も、向社会的行動の一側面であることを指摘したことは意義深いといえる。困っている人を助ける「思いやり」は重要であるが、被援助者や状況に応じた援助を行うことにも焦点を当てるべきだろう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究における協力校の運営方針変更のため、いくつかの調査が実施できなかったが、手元にあるデータおよび可能な範囲で収集したデータを詳細に分析・検討し、目的は順調に達成できたといえる。
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Report
(3 results)
Research Products
(16 results)