Project/Area Number |
10J03126
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Cell biology
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Research Institution | The Graduate University for Advanced Studies |
Principal Investigator |
庭山 律哉 総合研究大学院大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2010 – 2011
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2011)
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Budget Amount *help |
¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | 細胞質流動 / シミュレーション / 画像解析 / データ同化 / ミオシン / 初期胚 / スーパーコンピュータ / 流体力学 / 細胞生物学 |
Research Abstract |
細胞質流動は細胞全体に渡る物質の流動であり、生物界に広く観察される。栄養の撹搾などの機能を有する事が示唆されており、生物学的に重要である。私は、細胞質流動が細胞質の物性にどのように依存するのかに興味を持ち、研究を推進してきた。前年度までに、線虫初期胚の細胞質流動は、i)細胞質が粘性流体の物性を持つ、ii)および細胞質は細胞表層上のみで力を加えられるという2つの仮定を置いた流体シミュレーションで説明できる事を示した。この成果のうち特にi)は細胞質を粘性流体と単純化して考えても流動ダイナミクスが十分理解できることを示唆しており、本研究課題にある「細胞質の物性依存性」の理解の増進につながった。本年度、私は研究実施計画に基づき、流動を駆動する力の細胞内の分布に着目した研究を推進した。細胞内のどこでどの程度の力が働き、細胞質流動が生じているのかについては理解が進んでいない。そこで、私は細胞質流動を生みだす力学的な力の時空間的分布を高精度に推定する方法論の確立を目指した。私は、データ同化の方法を用いた推定法の確立に取り組んだ。この方法論では、実験で実測された流速分布を最も定量的に再現できる力の分布をコンピュータシミュレーションを用いて推定する事ができる。私は、前年度までにmoving particle semi-implicit法に基づいた細胞質流動のシミュレーションのソフトウェアを構築しており、それを基にデータ同化のソフトウェアを開発した。このソフトウェアの推定精度を検証する為に、前年度に取得した速度データを用いて、線虫初期胚の細胞質流動の駆動力の分布を推定した。その結果、前年度までに行ったシミュレーションよりも、高精度に細胞内の流速の空間分布を再現できた。この結果は、我々の方法により高精度な力推定が可能であることを示唆している。今後、私の開発したソフトウェアが、広く応用され、細胞質流動の力学の理解の進展に貢献する事を期待している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
まず、主な理由として、研究実施計画に基づき、データ同化のソフトを構築し、線虫初期胚の流動駆動力の空間分布を推定し、論文発表が視野に入るまで研究を進展させた事が挙げられる。更に、前年度までの研究成果をまとめた今年度の発表論文において、初期胚の流動が粘性流体様の振る舞いをすることを示した事から、「細胞質の物性依存性の解明」という研究課題の主要な目標を達したと評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
2011年になり、哺乳類のモデル生物であるマウスにおいても、卵母細胞、接合子の両方で細胞質流動の存在が報告された。これらは発生初期の細胞質流動が種を超えて普遍的に存在する事を示唆している。本研究で開発したParticle Image Velocimetry(PIV)による流速分布の計測法、データ同化法を応用した力分布の推定法などを用いて、それらの流動の力学的メカニズムの解明、機能の解明に取り組みたいと考える。
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