Project/Area Number |
10J03314
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
素粒子・原子核・宇宙線・宇宙物理(理論)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中野 嵩士 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2010 – 2012
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2012)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2012: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | 格子QCD / 格子フェルミオン / Staggered-Wilsonフェルミオン / 相構造 / パリティ対称性の破れた相 / 強結合極限・展開 / ホッピングパラメータ展開 / トポロジカル絶縁体 / ダブラー / QCDの相構造 / Aoki相 / 強結合極限 / 格子QCDの強結合展開 / 有限結合定数効果 / ポリヤコフ・ループ効果 / QCD相図 / カイラル相転移 / 非閉じ込め相転移 / 中間的密度相 / 臨界点 |
Research Abstract |
「格子量子色力学(格子QCD)における新しい格子フェルミオンの有用性とその相構造」について研究しました。 非摂動的解析の強力な方法である格子QCDは,時空を離散化することによってモンテカルロ計算による経路積分の実行が可能になります.しかし,格子上のフェルミオンにはカイラル対称性などQCDに不可欠な性質を課すと余分な自由度が出現する問題があります.この問題を解決する方法が現在までいくつか提案されていますが、現状の格子フェルミオンは計算コストが高いか現実のQCDを実現できないという問題を抱えていました。 近年、格子QCD数値計算を大幅に高速化しかつ現実のQCDを実現できるフェルミオンが提唱されました。この格子フェルミオンを格子QCDに応用するためには数値計算上の性質を調べる必要があります。その指標となり得るのがAoki相(パリティ対称性が自発的に破れた相)の有無とその性質です。 私は、この新しい格子フェルミオンにおいて、Aoki相が存在しカイラル極限を定義できるかどうかを調べました。昨年度は、強結合極限における相構造とパイオン質量を解析することで、カイラル極限を示しましたp検証手法は、二つの方法(ホッピングパラメータ展開、有効ポテンシャル)を用いてきましたが、ホッピングパラメータ展開において一部の高次項は無視していました。そこで、ホッピングパラメータ展開の高次項を考慮し、計算を行いました。結果として、高次項を考慮しても、カイラル極限を定義できることを示しました。 これらの結果から、この新しい格子フェルミオンは実際に格子QCDの数値シミュレーションにおいて用いることができるということを強く示唆していることがわかります。それゆえ、これらの結果は格子QCDの低コスト数値計算に向けて非常に重要な結果です。また、強結合格子QCDの手法を応用して、物性物理学におけるトポロジカル絶縁体におけるパリティ対称性が破れた相の有無について調べています。
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