脳内酸化ストレス疾患に対する水素分子の神経保護作用
Project/Area Number |
10J03325
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Biological pharmacy
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
藤田 慶太 (2011) 九州大学, 薬学研究院, 特別研究員(PD)
藤田 慶大 (2010) 九州大学, 大学院・薬学研究院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2010 – 2011
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2011)
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Budget Amount *help |
¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | 水素分子 / パーキンソン病 / MPTP / heat shock protein 72 / 神経変性疾患 / 酸化ストレス疾患 |
Research Abstract |
昨年度は、パーキンソン病モデル動物(MPTP投与マウス)に、水素分子を含有する飲用水(水素含有水)をMPTP投与前にあらかじめ飲水させると、MPTP投与によるtyrosine hydroxylase(TH)陽性ドーパミン作動性神経細胞の脱落が抑制されることを明らかとした。 本年度は、水素分子による神経保護作用メカニズムの解明を主目的とし、昨年度明らかにしたheat shock protein 72発現増加および発現制御機構の詳細な検討を行った。また、こうしたhsp発現量変化が神経保護作用と繋がっているか否かを検討した。その結果、次のような事を明らかにした。 (1)Hsp72は、線条体ではMPTP投与後に水素含有水飲水群で増加したのに対し、黒質ではMPTP投与の有無に関わらず水素含有水飲水群で増加した。 (2)黒質において、Hsp72はTH陽性ドーパミン神経細胞の細胞体に発現が認められた。 (3)他のHspファミリーのうち、Hsp90は水素含有水飲水群で減少したが、Hsp27は増減がなかった。このとき、Hsp72発現誘導に関与する転写因子HSF1は核内タンパク量が顕著に増大していた。 (4)一連のHsp発現量が増加する、heat shock responseを抑制する薬剤といわれるquercetinを投与したマウスでは、水素含有水によるHsp72発現上昇は見られず、神経保護作用も認められなくなった。 以上の研究結果より、水素含有水はheat shock responseを介して神経保護作用を示すことが示唆された。昨年度の結果と合わせると、水素含有水をあらかじめ7日間飲水することによって、ドーパミン含有神経細胞のHsp72発現量が増加し、MPTPによる神経細胞脱落に対して抵抗性をもたらすことが明らかとなった。本研究結果はこれまでの水素分子による酸素ラジカルへの直接作用に基づく抗酸化作用とは一線を画し、水素分子が新たな細胞保護メカニズムを持つことを提唱するものである。また水素分子含有飲用水によって神経変性を未然に防ぐという点は、予防医学の見地からも、将来の臨床応用を期するに値する研究結果であると言える。
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Report
(2 results)
Research Products
(8 results)