Budget Amount *help |
¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Research Abstract |
背弧拡大における最上部マントル構造発達について理解を深めるため,最上部マントル由来(約30km以深)であるかんらん岩捕獲岩の微細構造解析を行った.これまで,日本列島背弧側に産するかんらん岩捕獲岩(一の目潟,隠岐島後)を用いてきたが,今年度は特に背弧拡大初期におけるマントルウェッジのレオロジーをより明確にするために,大陸分裂帯(Kilbourne Hole)から産するかんらん岩捕獲岩に主眼をおき,岩石から予想される地震波特性を見積もった.その結果,Kilbourne Holeかんらん岩捕獲岩のかんらん石結晶方位は,隠岐島後より強い[010]集中と[100]ガードル分布を示した.本研究では地震学者との共同研究で新たにS波遅延時間(平均1.2秒)を報告し,この遅延時間を用いて異方性帯の層の厚さを計算したところ70~180kmとなり,鉱物の結晶方位のみではS波遅延時間を説明できず,岩石のもつ異方性のみで観測されている地震波異方性を説明することは難しい結果が得られた.本地域はリフト帯であることから,特定の方向に配向したメルトが存在している可能性が予想される.拡大軸に平行なメルトポケットの存在が必要であることが分かった. 更に,3つの構造モデルを仮定し,P・S波地震波速度とその異方性を岩石の鉱物量比に対する関数として求めた。その結果,単斜輝石の量比の増加に伴い,P波速度も増大することが分かった.実際の捕獲岩における鉱物量比から計算した結果はほぼ同じ値を示すが,これは斜方輝石の速度を遅くする効果と単斜輝石の速度を速くする効果により,相殺された結果であると考えられる.通常,単斜輝石はかんらん岩中の量比が小さく,他の鉱物に比べ弱い結晶方位定方配列をもつため,天然・実験・モデリング等を含め,その効果が議論されることはなかった.しかし,本研究の結果は,地震波速度に対する単斜輝石の効果が大きいことを示唆している.
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