Project/Area Number |
10J03838
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Inorganic chemistry
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山内 幸正 九州大学, 大学院・理学研究院, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2010 – 2012
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2011)
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Budget Amount *help |
¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | 水の可視光分解 / 白金(II)錯体 / 水素発生 / 均一系触媒 / 光エネルギー変換 / ビオローゲン / 安定性 / 速度論的研究 |
Research Abstract |
本課題は、白金(II)錯体の水素生成触媒反応機構について速度論的研究を行うことを目的としているが、その前段階として、前年度に引き続き水素ガス雰囲気下における白金錯体触媒の挙動の評価を行った。白金錯体と水素分子の反応は、水素生成反応の逆反応であることからも非常に重要な研究である。まず、前年度に高い耐久性と水素生成触媒活性を有することが判明したcis-PtCl_2(4-carboxypyridine)_2の、構造異性体であるtrans-PtCl_2(4-carboxypyridine)_2を新規に合成することに成功した。また、cis体同様trans体も1気圧の水素ガス雰囲気下で安定であり、さらにその水素生成触媒活性も比較的高いことが判明した。一方、前年度に1気圧の水素ガス雰囲気で分解することが判明しているcis-PtCl_2(NH_3)_2やPtCl_2(ethylenediamine)の類似化合物として比較的剛直な構造を有すと考えられるPtCl(diethylenetriamine)についても新規に評価した。その結果、1気圧の水素ガス雰囲気下で分解し、かつその水素生成触媒に対する活性は低いことが判明した。これらの結果をまとめると、σ供与性を示すアミン系配位子を有する白金(II)錯体が分解した一方、π受容性を示すピリジン系配位子を有する白金(II)錯体が安定であることがわかった。すなわち、1気圧の水素ガス雰囲気下において白金(II)錯体が分解するか否かは、その配位子の構造ではなく白金原子の電子密度により左右されることが見出された。その分解反応の経路として、白金(II)錯体への水素分子の酸化的付加反応による白金(IV)ジヒドリド錯体を経由するといったものが考えられる。ヒドリド配位子は高いトランス影響を示すため、白金(IV)ジヒドリド錯体は生成後すぐに分解してしまうと推測される。白金(II)錯体の水素生成触媒反応機構においては、白金(III)モノヒドリド錯体が触媒活性種として推定されており、安定な錯体の設計指針においては、このようなヒドリド種を安定化させるような分子設計が重要であることを明らかにした。
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