Project/Area Number |
10J03850
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
General physiology
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Research Institution | National Institutes of Natural Sciences Okazaki Research Facilities (2011) The Graduate University for Advanced Studies (2010) |
Principal Investigator |
加塩 麻紀子 大学利用機関法人自然科学研究機構(岡崎共通研究施設), 岡崎統合バイオサイエンスセンター, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2010 – 2011
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2011)
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Budget Amount *help |
¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | TRPM2 / 過酸化水素 / 体温 |
Research Abstract |
Transient Receptor Potential Melastatin 2(TRPM2)は温度感受性のカルシウム透過性イオンチャネルである。当該研究員は、TRPM2の活性化温度閾値が過酸化水素により調節され、生理的域以上の温度から生理的温度へとシフト(感作)することで体温下でのTRPM2の活性を可能としている現象を見出した。 本年度は、過酸化水素により惹起されるTRPM2の感作に関わるアミノ酸残基の探索を行った結果、単一メチオニン残基への変異導入(M214A)によりTRPM2の感作が完全に消失することを明らかとした。種々の酸化剤の検討結果とあわせて、過酸化水素による感作にはメチオニン酸化が関わると結論した。また、TRPM2の感作がどのような生理機能に関わるかを検討するべく、TRPM2を発現し、感染防御にあたり内因性の経路を介して活性酸素を産生するマクロファージをモデルとし、マクロファージ機能におけるTRPM2の関与を検討した。その結果、活性酸素産生経路を活性化する刺激であるザイモサンにより惹起されるサイトカイン(G-CSF、CXCL-2、IL-1α)の遊離がTRPM2欠損マクロファージにおいて有意に減少すること、発熱域で見られるザイモサン貪食能の上昇が、TRPM2欠損マクロファージでは消失していることを明らかとした。本年度はさらに本研究結果をまとめ、米国科学アカデミー紀要に発表した。 感染にはしばしば発熱を伴うが、その発熱が免疫力を高めることは古くから知られる現象である。本研究結果は、免疫細胞に発現するTRPM2の活性が感染時に過酸化水素の産生を介して高まり、さらに発熱により活性が増大することを明確に示しており、"発熱による免疫の活性化"のコア分子の一つとしてのTRPM2の関わり示唆するものである。さらに本研究成果により、免疫細胞に限らずTRPM2の発現する組織(脳、膵臓、腎臓、肝臓など)におけるTRPM2の生理機能及び各種病態への関わり、ひいては各種疾患の新たな治療戦略を見出すための、突破口が開かれるものと期待される。
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