プロテオーム解析のための次世代分析手法の開発と応用
Project/Area Number |
10J04062
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Living organism molecular science
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Research Institution | Kyoto University (2011-2012) Keio University (2010) |
Principal Investigator |
岩崎 未央 京都大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2010 – 2012
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2012)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2012: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | Proteomics / LC-MS/MS / HeLa / Monolithic column / proteomics / Escherichia coli / phosphopeptides |
Research Abstract |
背景 タンパク質を網羅的に同定・定量する際には、ナノ液体クロマトグラフィー―質量分析法(nanoLC-MS/MS)を用いたショットガンプロテオミクスを用いるのが一般的である。しかし、ショットガンプロテオミクスには主に以下の二つの問題点があり、試料中のすべてのタンパク質を1度に同定することは未だ困難である。 (1)複雑性:ショットガンプロテオミクスでは試料中のタンパク質を断片化して測定するため、試料の複雑性が非常に高くなる。ヒトでは最低でも約3千万種のペプチド断片が生じると考えられる。 (2)濃度差:ヒトタンパク質間の発現量の差は最大で106倍あり、発現量の差が大きいタンパク質由来のペプチドが質量分析計に同時に打ち込まれると、イオン化抑制により量の少ないペプチドが検出されにくい。 そこで、ショットガンプロテオミクスを用いたタンパク質の同定効率改善を目的とし、分析化学的・情報学的手法を駆使して試料の濃度差および複雑性の問題を解決しようと試みてきた。これまで、メートル長モノリス型シリカカラムを用いたLCシステムでタンパク質消化試料を分析することで、分離能が格段に向上し、同定効率が著しく改善することを示してきた。 研究実施状況 本年度は、モノリス型シリカカラムを用いたLC-MS分析システムをヒト人工多能性幹細胞(hiPS細胞)およびヒト線維芽細胞へ応用した。ヒトiPS細胞5株および線維芽細胞3株のプロテオーム解析を行った結果、9510種のタンパク質を同定した。これは現在報告されているiPS細胞プロテオーム研究としては世界最大であり、既存の手法よりも必要試料量や測定時間を大幅に改善することに成功した。 同定されたタンパク質のうち、約25%にあたる2366種のタンパク質はiPS細胞選択的に発現していた。特に転写制御に関わるタンパク質がiPS細胞選択的に発現しており、その中にはこれまでタンパク質レベルで存在が確認されていなかった転写制御機能を有する多能性マーカー候補タンパク質も含まれていた。 この成果はヒトiPS細胞プロテオーム研究の第一歩となるものである。今後は、線維芽細胞の初期化過程などの得られる細胞が少ない状態でもプロテオーム解析を行うことのできる高感度な解析システムの開発、また、iPS細胞におけるリン酸化などの翻訳後修飾機能解析を集中的に行う必要があると考える。
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Report
(3 results)
Research Products
(14 results)