Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2012: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
|
Research Abstract |
本研究は,プレート沈み込み地震発生帯における地震時の断層物質の化学反応と断層滑り挙動の解明を目的としている.24年度は,現在の地震発生帯である南海トラフの陸上アナログである房総半島第三系付加地質帯にふたたび注目し,昨年度,南海トラフでの掘削試料について開発した手法を過去の付加体の浅部に発達する断層に対しても適用し,そこに発達する断層のすべりの特徴について議論した.断層は三浦層群西崎層発達する白子断層,保田層群,三浦層群を境する磑森断層,保田層群内に発達する江見断層を選択した.それぞれ,過去に前縁デコルマ,層序外断層,付加体内の小規模な断層として運動していたとみられている,各々の断層から試料採取を行い,研磨片を作成したのち,南海トラフ試料に対して導入されたものと同じ分析手法でビトリナイト反射率の分布を分析した.その結果,断層を中心としてビトリナイトの反射率が母岩に比べて上昇していることが確認された.特に,白子・榿森断層では断層の外側においても反射率の上昇が確認され,これは南海トラフ試料の分析結果と調和的であった.その後,昨年度に開発したビトリナイト反射率異常から断層のすべり情報をもとめる手法を同様にこの3試料に適用したところ,白子・硅森断層では非常に長時間にわたるゆっくりとしたすべりが検出された.また,江見断層については断層の内部のみビトリナイトの反射率上昇が確認されず,これは断層での発熱が周囲の母岩に伝わる前に終了をした,つまり短時間のすべりであることが示唆され,過去のこの断層を使ったすべり解析と同様な結果が得られた.以上の結果から,沈み込み地震発生帯に発達する断層のすべり挙動をまとめたところ,深部からのすべりが伝播するような断層ではその浅部においてゆっくり・大変位のすべりが記録されており,内部の小規模な断層では高速すべりが記録されていることがわかった.
|