Project/Area Number |
10J04469
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Environmental dynamic analysis
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
久野 草太郎 京都大学, 農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2010 – 2012
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2012)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2012: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | アオコ / ラン藻 / ミクロキスティス / ファージ / 遺伝的多様性 |
Research Abstract |
本年度は、アオコ発生湖沼から分離した複数の株についてCRISPR領域ならびにrRNA遺伝子領域の遺伝子配列を決定し、ファージ感受性に基づく群集組成解析を行った。 まず、2010年および2011年の夏季に京都市広沢池の表層水からM. aeruginosaの群体を釣菌し、計94株の分離株を得た。それぞれの培養細胞からDNAを抽出し、特異的PCR法ならびにCRISPR関連遺伝子cas2を標的としたドットプロットハイブリダイゼーション法によりCRISPR領域の有無を調査した。その結果、52株でCRISPR領域が検出された。上記52株はCRISPRに記録されたスペーサーの組成に基づいて、異なる22タイプ(CRISPRタイプ)に分類された。2011年8月10日の分離株(33株)は16種のCRISPRタイプで構成されており、特定タイプの優占は認められなかった。以上の結果から、M. aeruginosa群集にはファージ感染履歴がそれぞれ異なる複数タイプの株が共存していることが明らかになった。また、CRISPRの末端領域に新しく追加されたスペーサーの一部は、本ラン藻感染性ファージであるMa-LMM01やM. aeruginosaから分離されたプラスミドに由来するものであった。このように、広沢池のM. aeruginosa群集では、外来因子との相互作用を通じてスペーサーが獲得され、CRISPRが多様化していることが明らかになった。次に、種内多様性の指標であるITS領域に基づいて分離株のタイピングを行った。CRISPR末端に異なるスペーサーを持つ株が同一のITSタイプに分類されたことから、スペーサー組成は短期間で変化することが示された。また、群衆内で優占するITSタイプには、4種の異なるCRISPRタイプが含まれ、密度依存的なファージ感染によってCRISPR領域の多様化がとりわけ急速に起きた可能性が示された。 これらの研究成果は、ファージとの相互作用を通じたアオコ原因ラン藻の多様化の実態について初めて明らかにしたものであり、国際誌へ投稿済みである。
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