Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2012: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Research Abstract |
細胞が増殖するためには遺伝情報を担うDNAを正確に複製する必要がある。DNA複製は、DNAヘリカーゼであるMCM複合体の複製開始点結合と活性化を経て開始する。MCMは、開始点にロードされるときは二重鎖DNAにdouble hexamerとして結合するが、活性化後はsingle hexamerが一本鎖DNAに結合していると考えられている。しかし、どのようにしてその変化が起こるのかはよく分かっていない。MCMの活性化段階では、GINS、Cdc45などの因子がMCMに集合することが必要である。複製フォークにおいてMCMはGINS、Cdc45と強固な複合体(CMG複合体)を形成しており、これがヘリカーゼの核であると考えられている。複製フォークにおいてGINS,Cdc45はMcm2-7とCMG複合体(Cdc45-Mcm2-7-GINS)を形成しており,これがヘリカーゼの核であると考えられている。Mcm10は真核生物で保存された因子であり、複製開始に必要であること、また複製フォークにも局在することから、Mcm10の機能を理解することでMCMヘリカーゼの活性化メカニズムを知ることが出来るのではないかと考えた。私は条件誘導的蛋白質分解法(AID法)を分裂酵母で開発・構築し(Kanke et al.,2011)、この方法を用いてMcm10を細胞から除去して解析を行った。その結果、Mcm10がなくても複製開始点上にCMG構成因子が集合することを見出した。このとき、一本鎖DNAに結合するRPAやDNA Pol α,δの複製開始点結合は大幅に減少していたことから,開始点DNAの二重鎖開裂は起こっていないと考えられる。興味深いことに、Mcm10除去条件で,保存されたzinc fingerモチーフにアミノ酸置換を導入した変異Mcm10蛋白を発現させると、この蛋白は複製開始点に結合するがRPAの結合は誘起されなかった。さらにこの変異によりMcm10同士のself-interactionと一本鎖DNA結合活性が低下していた。私は,Mcm10がmultimerとしてCMG複合体に結合してその構造をdouble hexamerからsingle hexamerへと変化させ,さらに一本鎖結合活性によって開始点の開裂を安定化することにより,DNA複製開始に必須の役割を果たしているのではないかと考えている(Kanke et al.,2012)。
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