Project/Area Number |
10J05049
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Synthetic chemistry
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
豊島 武春 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2010 – 2011
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2011)
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Budget Amount *help |
¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | ロジウム触媒 / カップリング反応 / アレン / アルデヒド / β,γ-ジアルキリデンケトン / ロジウムクロロ錯体 / ロジウムトリフラート錯体 / 位置選択的合成 / オキシインドール類 / パラジウム触媒 / 環化反応 / シアノ化 / アルコキシル化 / スルファニル化 / [1,3]-転位反応 / タンデム型反応 |
Research Abstract |
遷移金属触媒によるカップリング反応は、古典的手法を用いては合成することが困難な化合物を、短工程で効率良く合成できる点で優れている。それゆえカップリング反応は工業的に大量合成する際においても用いられており、今日の化学産業を支える強力な合成手法と言える。本反応が与えるインパクトの大きさは、例えば2010年度のノーベル化学賞が「パラジウム触媒によるカップリング反応の開発」に対して与えられたことからも明らかであり、効率のよいカップリング反応を新たに開発することは、学術面・産業面からも高い注目を集める。本年度は研究実施計画に沿い、ロジウム触媒によるアルデヒドとアレンのカップリング反応の開発について検討した。ロジウム錯体と、ホスフィン配位子としてdppeにより反応系中で調製したロジウム触媒の存在下で、1分子のアルデヒドと2分子のアレンとのカップリング反応が化学選択的に進行し、β、γ-ジアルキリデンケトンが得られることを見出した。この際ロジウム前駆体としてロジウムクロロ錯体、あるいはロジウムトリフラート錯体を用いることで、ケトン部位の位置に関する構造異性体が、それぞれ高い選択性で得られることも見出した。それぞれの錯体を用いた際の、最適な反応条件および基質の適用範囲を検討して本反応の一般性を明らかとした後、学術論文としてまとめた。本反応はまず、容易に入手できるアルデヒドおよびアレンを原料として用いて、従来法では合成の難しい生成物が得られる点に有機合成化学上の価値を見いだせる。また金属錯体の対アニオンの違いにより、生成物の位置選択性が顕著に変化する現象は、今までに前例のない重要な知見である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ロジウム触媒を用いる本カップリング反応では、1分子のアルデヒドと2分子のアレンとから、従来法では合成困難なβ、γ-ジアルキリデンケトンが得られる。この際、ロジウムクロロ錯体あるいはロジウムトリフラート錯体を用いることで、生成物中のケトン部位の位置に関する構造異性体が、それぞれ高い選択性で合成できる。本年度は反応条件の設定および、アルデヒドやアレンの適用範囲に関して詳細に検討し、学術論文や学会を通して研究成果を発表することができた。従って、上記の評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
本反応で見出された、カウンターアニオンの違いにより、異なる構造異性体が得られる現象については、説明ができていない。しかし反応機構を明らかにしていくことで、解釈できると考えているため、今後ロジウム中間体の単離やNMR実験を行い、確証を得ていきたい。また、本反応では一置換アレンのみ適用可能であったことから、ホスフィン配位子や反応条件の再検討を行い、適用範囲を広げていきたい。
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