肝臓腫瘤診断における造影超音波検査の応用に関する研究―診断から分化度の評価へ―
Project/Area Number |
10J05227
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Clinical veterinary science
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中村 健介 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助教
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Project Period (FY) |
2010 – 2011
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2011)
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Budget Amount *help |
¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | 造影超音波検査 / 肝細胞癌 / Kupffer細胞 |
Research Abstract |
本研究では、ソナゾイド造影超音波検査による犬の肝臓腫瘤診断法を確立するとともに、特に肝細胞癌の分化度を評価する方法を確立するべく研究を行った。研究期間中に、対象となった肝臓腫瘤症例は67症例であり、11例が良性の結節性過形成、56例が悪性腫瘍であった。悪性腫瘍のうち、肝細胞癌が33例と最も多く、次いで血管肉腫4例、肝カルチノイド4例、胆管癌3例、組織球肉腫3例、その他9例であった。動脈相においては、良性腫瘤の多くがIsoに分類された(9/11,81.8%)のに対して、悪性腫瘍の多くがHyper(25/56,44.6%)もしくはHypo(18/56,32.1%)に分類された。Hyperと分類された症例の多くは癌腫であった(22/25,88.0%)。門脈相においては良性腫瘤の全例がIsoに分類された(11/11,100%)のに対して、悪性腫瘍の多くがHypoに分類された(40/56,71.4%)。ただし、肝細胞癌に却いては、Hypoに分類される例は約半数にとどまり(18/33,54.5%)、造影増強される例も比較的多く認められた。実質相において、良性腫瘤の全例が周囲の正常実質と同程度に造影され、Isoに分類された(11/11,100%)のに対して、悪性腫瘍の多くが明瞭な造影欠損を示し、Hypoと分類された(51/56,91%)。ただし、肝細胞癌においては、実質相で造影増強を示しIsoに分類される例も存在した(3/33,9.1%)。以上の様に、本研究により犬の肝臓腫瘤診断においてソナゾイド造影超音波検査が非常に優れた精度を持つことが明らかとなった。肝細胞癌の33例中、実質相においてIsoとなった症例は3例と非常に少ない割合であったがこれらの症例においてはHypoに分類された症例よりも、免疫染色によりKupffer細胞数が多い傾向が認められた。しかしながら一方で、今回の研究対象となった33症例の全てが病理組織学的検査により高分化型肝細胞癌と分類され、分化度に応じた比較は不可能であった。ただし、その中でも肝細胞癌を再発した症例が複数存在しており、病理検査の限界も見て取れた。従って、今後これらの症例に対して追跡調査を行い、肝細胞癌の再発率や予後とKupffer細胞数ならびに造影超音波検査所見との間に存在する因果関係を明らかとしたい。
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Report
(2 results)
Research Products
(22 results)