Project/Area Number |
10J05623
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Genetics/Genome dynamics
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
西田 征央 名古屋大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2010 – 2012
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2012)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2012: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | 線虫C.elegans / 温度走性 / 記憶 / CREB / マイクロアレイ / CATP-3 |
Research Abstract |
線虫C.elegansが示す温度走性行動を指標として、記憶形成に関わる分子および神経基盤を解明することを目的に、線虫を用いた分子遺伝学的解析を行った。これまでに、本研究から、動物の記憶形成に重要なCREBのオルソログCRH-1が温度走性行動に重要な役割を果たしている可能性が示された。crh-1を欠損した変異体は温度走性において顕著な異常を示し、また、この変異体の温度受容ニューロンAFDでcrh-1 cDNAを発現させた場合のみ、この異常がほぼ完全に回復した。また、カルシウムイメージングにおいて、AFDの飼育温度に依存した反応を観察した結果、crh-1変異体では、この反応に異常が見られた。これらの結果から、温度走性行動においてCRH-1がAFDニューロンのみで機能すること、さらには、AFDニューロンがCRH-1に依存した温度記憶を保持している可能性が示唆された。本研究は、単一細胞が担う記憶のメカニズムを分子遺伝学的に解明するための、極めてシンプルなモデルシステムを提唱するものであり、記憶形成に関わる分子神経基盤を解き明かす鍵となることが期待される。 もしCRH-1が温度記憶に関与していた場合、CRH-1によって転写制御される下流遺伝子が記憶の実体を担うことが期待される。マイクロアレイ解析を応用して、CRH-1の下流遺伝子の探索を行った結果、複数の膜タンパク質がCRH-1依存的に発現変動することが検出された。中でも、Na^+トランスポーターをコードするcatp-3遺伝子についての変異体がcrh-1変異体と類似した行動異常を示したことから、catp-3がCRH-1の下流遺伝子であることが期待される。catp-3がCRH-1の下流遺伝子として、膜電位の制御に関与していた場合、温度変化に依存した発現調節を受け、ニューロンの膜電位を変化させる分子として、極めて重要な例であり、核内現象と細胞膜での現象を結ぶ新たな記憶形成のモデルとして、斬新なコンセプトを提唱できる可能性を秘めている。
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