Project/Area Number |
10J05877
|
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Cognitive science
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高岡 祥子 京都大学, 文学研究科, 特別研究員(PD) (80759267)
|
Project Period (FY) |
2010 – 2011
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2011)
|
Budget Amount *help |
¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
|
Keywords | イヌ-ヒト間コミュニケーション / 社会的知性 / 信頼性 / イヌ / イヌーヒト間コミュニケーション / 物体選択課題 / 個体経験の影響 / ヒトのジェスチャー理解 / 文化間比較 |
Research Abstract |
家畜化により特殊な進化を遂げたイヌの社会的知性を解明することで、ヒトを含む霊長類の社会的知性の特殊性とその進化をより深く考察することが本研究の目的である。一般家庭で飼育されるイヌを対象とし、多様な飼育環境が個体の社会的知性に与える影響について検討した。昨年度の研究では、イヌは課題解決場面でヒトのジェスチャーという物理的特性に感受性を持つだけでなく、ヒトとのインタラクションの経験に基づき、特定のヒトの社会的特性をも認識可能であることを示した。本年度の研究では昨年度の実験を発展させ、イヌがヒトとのインタラクションで不利益を被ることなく、単にヒトの行動を観察した経験に基づいてヒトの社会的特性を認識し、別の場面にそのことを般化させて柔軟に行動調整可能であることを示した。さらに日独で比較研究を行った結果、ドイツで飼育されるイヌの問題解決場面における行動は日本のイヌよりも日常における社会化訓練等の影響を強く反映していることが示唆された。ヒトは乳児期から、周囲のヒトから情報を得る際にはそのヒトの過去の行動を参照して信頼性を評価し、より信頼のおけると判断したヒトから情報を得ようとする。本研究はイヌもこのようなヒトと類似した他者の信頼性の認識を行い、それに基づいた柔軟な行動調整が可能であること、さらにこのような社会的知性はイヌ全体に一様ではなく飼育環境の違いに影響を受けることを明らかにした。イヌにおける、行動観察に基づく他者の信頼性の認識とその般化、さらに飼育環境がもたらす影響について検討した研究はこれまでに報告されておらず、イヌの社会的知性の理解に関する従来の知見をさらに広げることに貢献したと言える。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2年間の研究期間にイヌの行動観察実験を日本およびドイツで行った。その結果、従来知られていなかったイヌの社会的知性を明らかにするとともに、飼育環境による影響についても検討を行い、申請書の研究の目的に沿った結果を得ることができた。英語論文は現在執筆中であり、研究結果は平成24年8月に国際学会で発表予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究では、イヌの社会的知性研究において一般的に用いられてきた物体選択課題を用いて、イヌがヒトのジェスチャーという物理的特性だけではなく、"信頼性"という社会的特性までも認識しているかを検討した。今後の研究としては、イヌのこのような柔軟な社会的知性が、物体選択課題以外の課題においても行われるのかについて検討する必要がある。また、本研究では観察によるヒトの信頼性の認識が直後の別の課題においても利用されたが、このような柔軟な行動調整がどれくらい時間が経過しても持続するのかについても合わせて検討する必要がある。
|