Budget Amount *help |
¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Research Abstract |
本研究は,野球投手のパフォーマンス指標の中でも「キレ」,「伸び」といった感覚的な表現で表される性質の向上に向けたトレーニング法,指導法の確立を目的とし,身体動作,筋力発揮がボールの回転や球速に与える影響を明らかにするものであった. 前年度までにプロ野球,大学野球投手各11名の直球のボール回転の特徴を明らかにしたが,この内容は本年度,国際誌Medicine & Science in Sports & Exerciseに受理,掲載された. また本年度にはこれまで検討した直球に加え変化球にも着目し,そのボール回転飛翔軌道を明らかにした.その結果,直球を含めた全投球の水平,垂直方向への変位量(ΔX,ΔZ)は,スピンパラメータ(移動速度に対する回転速度の比)の水平,垂直方向成分をそれぞれ独立変数とした回帰式(p<0.001)で表された.これにより,ボール回転速度,回転軸角度,移動速度を計測することで,変位量を精度よく推定することが可能となった.同様に,回転軸に対するボール縫目の向きの違いが飛翔軌道に与える影響についても検討した. これらの結果から,どのような球種であっても,その飛翔軌道にはボール回転速度,回転軸角度,移動速度が強く影響することが明らかとなった.また変位量とスピンパラメータ各成分との関係を表す回帰式からは,投手がある球種の変位量を増減させようとするとき,個々によって回転軸角度,回転速度のどちらの改善が必要かを判断できるようになった.改善点によって投手が取るべき方策は異なると考えられ,投球されたボールの回転を計測することで効率の良い指導・トレーニングに繋がるものと考えられた.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究では,ボールの回転を詳細に調べることで投手のパフォーマンス能力を定量的に評価することができた.またボールリリース時の手指の動作とボール回転との関係も明らかにしたが,指の動作は極めて高速で行われるため意識的に変化させることが困難であるため,研究結果が投手のトレーニングに直接活用できるものではない.そこで今後は,投球動作の中でも投手が意識的に変化させやすいと考えられる,より近位の上肢,体幹部の動作に着目し,ボール回転との関係を明らかにする、この研究の成果は,投手のパフォーマンスを高めるためのトレーニング,指導法の確立に大きく結びつくものと考えられる.
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