Budget Amount *help |
¥7,500,000 (Direct Cost: ¥7,500,000)
Fiscal Year 2012: ¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 2011: ¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 2010: ¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
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Research Abstract |
脅威刺激への注意,すなわち注意バイアスは不安を高める要因と考えられ,訓練によって注意バイアスを防止することが不安の低減に効果があるとして注目されている。本年度は,その注意訓練の発展に寄与すべく,高次認知機能の1つであるワーキングメモリによる注意バイアスへの影響について詳細に調べた。実験参加者には,ある情報をワーキングメモリに保持してもらいながら,表情刺激(怒り表情など)を用いた視覚探索課題を行ってもらった。課題に応じて,保持するワーキングメモリの情報を操作した。その結果,記憶している表情と同じ表情が提示されると,より効率的にその表情から注意を離すことができる可能性が示された。例えば怒り表情を記憶すると,記憶している間は怒り表情が提示されてもすぐに他の刺激に注意を移動することができる。さらには,記憶している情報と同じ視覚的特徴を持った顔表情にすばやく注意が向くことも示された。今回の実験では,視覚探索課題においてそれぞれの顔が異なる色に塗られており(例えば赤い顔や青い顔など),実験参加者が事前にある色を記憶していると(例えば赤色),その色と同一の顔表情(赤い顔)にすばやく注意が向いた。この結果から,喜び表情などポジティブな顔に見られるある視覚的特徴を記憶することで,ポジティブな刺激へと注意が促される可能性が考えられる。また,このようなワーキングメモリによる注意の誘導は,不安得点が高いほどその効果が大きく,高不安・社交不安者に適用可能であると思われる。 これらの結果より,高不安・社交不安者も事前にネガティブな刺激を記憶し,提示されることを予測していること,そしてポジティブな刺激に見られる視覚的特徴を事前に把握・意識しておくことで,脅威刺激から注意をそらすことが可能であると考えられる。この手法はすぐにでも注意バイアス修正法に応用可能であると考えており,不安低減にどれほどの効果があるか,長期間時間をかけて今後実施することが望まれる。
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