プリンヌクレオチド合成経路によるがん幹細胞の未分化維持機構の解明
Project/Area Number |
10J06332
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Pathological medical chemistry
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
大塩 貴子 金沢大学, がん進展制御研究所, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2010 – 2012
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2012)
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Budget Amount *help |
¥2,800,000 (Direct Cost: ¥2,800,000)
Fiscal Year 2012: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2011: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2010: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 幹細胞 / がん幹細胞 / 未分化維持 / プリンヌクレオチド合成経路 / Nucleostemin |
Research Abstract |
申請者のグループでは、幹細胞マーカー候補のNucleostemin(NS)の発現を指標に、がん幹細胞および正常組織幹細胞の特定と未分化性維持機構の解明に取り組んでいる。これまでに、精巣、肝臓および脳腫瘍におけるNS高発現細胞には、正常組織幹細胞もしくはがん幹細胞が濃縮していることを報告しており、NSは組織を越えた未分化マーカーとなりうることが示唆されている。本年度は、マウスおよびヒトにおける精巣、胚細胞腫瘍でのNSの発現を解析した。マウスおよびヒトの胎児精巣、ヒト胚細胞腫瘍でのNSの発現を調べたところ、NS陽性細胞の約60%が未分化マーカーであるOct3/4陽性であった。これらの結果より、NSは精巣および胚細胞腫瘍での幹細胞マーカーであることが示唆された。さらに胚細胞腫瘍でのNS発現細胞の機能を検討するために、マウス奇形腫モデルを用いて解析を行った。マウスES細胞はNS強陽性だが、ES細胞を免疫不全マウスの皮下に移植し奇形腫を作らせると、ES細胞の殆どはNS陰性および弱陽性になった。免疫組織染色により、NS陽性細胞は分化マーカー陰性であり、未分化マーカーや増殖マーカー陽性であった。奇形腫よりNS強陽性、弱陽性、陰性細胞を分離し、in vitroでの培養と免疫不全マウスへの2次移植を行ったところ、NS強陽性細胞は高いコロニー形成能および腫瘍形成能を保持しており、奇形腫においてもNS強発現細胞集団には、がん幹細胞が濃縮していることが明らかとなった。さらに奇形腫においてNSをノックアウトすると、腫瘍の形成は優位に抑えられ、未分化マーカー陽性細胞が増加していた。以上の結果より、NSは奇形腫において未分化維持や細胞増殖に寄与していることが判明した。今後、効率よくNSの発現を抑制できる薬剤が開発されれば、胚細胞腫瘍においてがん幹細胞を分化させ、がんの根治に繋がるものと期待される。
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Report
(3 results)
Research Products
(3 results)