超音速ジェットレーザー分光法による包接化合物の包接メカニズム解明
Project/Area Number |
10J06761
|
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Physical chemistry
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
日下 良二 広島大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2010 – 2011
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2011)
|
Budget Amount *help |
¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
|
Keywords | クラウンエーテル / 分子認識 / 超音速ジェット法 / レーザー分光 / レーザー分光法 |
Research Abstract |
これまで、包接化合物の1つであるクラウンエーテルの中性分子包接のメカニズムを解明するための研究を行ってきた。本年度は、様々なクラウンエーテル[3n-crown-n,12C4(n=4),15C5(n=5),18C6(n=6),24C8(n=8)]とフェノール分子1:1錯体を対象にすることで、これらのクラウンエーテルのフェノール分子包接における、 1.錯体構造のクラウンエーテルの大きさの依存性 2.クラウンエーテルの分子認識能力の違い について研究できた。これらの錯体の構造は、超音速ジェット法とレーザー分光法による電子および赤外スペクトルの観測、および分子力場計算と量子化学計算による構造解析により明らかにした。 結果として、18C6-phenol錯体には主に1つの異性体しか存在しないが、他の錯体にはそれぞれ複数個の異性体が存在することがわかった。この結果は、18C6-phenol錯体のみは特異的に安定な1つの構造を取りやすいが、他の錯体には特に安定な唯一の構造が存在しない、ことを意味している。赤外スペクトルの結果からは、これらの錯体はフェノールのOHとエーテル酸素の間の水素結合だけでなく、フェノールの芳香環も錯体の形成に関わっていることが示唆された。従って、18C6とphenol分子は、お互いの分子の形状を最大限生かして、まるで鍵と鍵穴のように分子の形状がベストマッチした錯体構造を形成していると考えられる。 理論計算によっても、18C6-phenol錯体のみ、特異的に安定な構造が存在することを確かめることができた。計算による構造解析によると、18C6がある特定のコンフォメーションを取る場合に限り、フェノール分子はその空孔内に収まり、水素結合だけでなくファンデルワールス力などが共同的に働くことで分子間相互作用が特異的に強められるという結果を得た。 クラウンエーテルの大きさと柔軟性に伴う新奇な分子認識能力を発見することができた。
|
Report
(2 results)
Research Products
(13 results)