Budget Amount *help |
¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Research Abstract |
私は昨年度に引き続き,サイクル写像に関する研究として主に「有限体上の非特異射影多様体に対するTate予想」についての研究に取り組んだ. 有限体上の非特異多様体の重要な不変量にChow群とl進エタールコホモロジーがある.Tate予想は,それらを結ぶサイクル写像という準同形写像が全射であることを主張する予想であり,ゼータ関数の整数点での極の位数と関係する数論幾何学において重要な未解決問題である. 私はSoule,SpiessやMilneによる先行研究を用いて,Fermat多様体の積やFermat曲線のJacobi多様体に対してTate予想を研究し,いくつかの条件の下でTate予想を証明することができた.さらに,GeisserとKahnの結果を適用することにより,サイクル写像の全単射性や高次代数的K群に関するParshin予想なども成り立つことが得られた. また,素数次数のFermat曲線のヤコビ多様体の単純因子に対しては,強い意味でTate予想が成り立つための必要十分条件を与えた.ここで,強い意味でTate予想が成り立つとは,すべてのTateクラスがdivisorクラスによって生成されるときをいう.この系として,ある超楕円曲線のヤコビ多様体に対して,強い意味でTate予想が成り立つことが得られた.これは塩田による複素数体上の同様のヤコビ多様体に対するHodge予想についての結果の類似を与えており,興味深いものであると考えられる. これらの結果の証明の鍵となるのは,l進エタールコホモロジーに作用するErobeniusの固有値の性質であり,特にJacobi和という代数的整数が重要な役割を果たしている.また計算のなかで円分体の類数(L関数の特殊値)が現れるため,整数論的に興味深いものであったと考えている.
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