最新宇宙観測結果を用いた宇宙論的磁場の起源、ニュートリノの性質に対する正確な理解
Project/Area Number |
10J07477
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
素粒子・原子核・宇宙線・宇宙物理(理論)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
白石 希典 名古屋大学, 理学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2010 – 2012
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2012)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2012: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | 宇宙マイクロ波背景放射 / 非ガウス性 / 初期宇宙 / インフレーション / バイスペクトル / パリティ / 統計的非等方性 / ベクトル場 / 原始磁場 |
Research Abstract |
平成24年度は、まず、前年度に行ったパリティの破れた初期磁場を起源とするCMB揺らぎの3点相関関数バ(イスペクトル)の詳細な解析を行った。ここで、このシグナルはパリティの破れを含まない磁場から生じるシグナルとは別の分離可能な領域にシグナルを持つ事を示し、パリティの破れた磁場の大きさに対して将来観測から期待される制限を見積もった。次に、このような磁場(ベクトル場)をインフレーション期に作り出すような理論モデルに含まれるベクトル場と曲率揺らぎや重力波との間の相互作用から、特徴的なCMB揺らぎのシグナルが作られる事を示した。これは、上記のようなバイスペクトルではなくパワースペクトル(2点相関関数)に表れる事を示し、自己相関であるにも関わらず負にもなりうる事を発見した。これらの研究をまとめた2本の論文は既に出版されている。 ベクトル場から生じる「非ガウス的」観測量はCMB揺らぎだけではない。ベクトル場起源の曲率揺らぎは、理論的に計算される物質揺らぎと実際観測される銀河、銀河団分布の不一致性(バイアス)に特徴的なスケール依存性を生み出す。我々はベクトル場から生じるバイアスパラメータを詳細に計算し、一般的なベクトル場運動項を考えた場合銀河団スケールのバイアスパラメータが必ず負になることを発見した。また、CMBバイスペクトルを用いてベクトル場に付随する方向依存性を特定し、背後の初期宇宙モデルの妥当性を検定する方法論を構築するという研究も行っている。これらの研究をまとめた2つの論文は現在査読中であるが、受理に向け前向きな返事を受け取ったところである。 以上の研究は、初期宇宙にベクトル場が存在し得るか否か判断するための新しい観測的指標を提示するものであり、将来観測と比較する事によりその答えが得られるものと期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ベクトル場の性質を特定するために、当初の予定であったCMBバイスペクトルを用いた解析のみならず、銀河分布に付随するバイアスのスケール依存性やCMBパワースペクトルなど新しい観測量を用いた解析も行ったため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画では、N体シミュレーションを用いたニュートリノの性質の制限をメインで行うことになっていたが、これは他の研究グループによって行われたため、計画を変更して引き続き、CMBバイスペクトルを用いた様々な初期宇宙モデルの制限を行う。更に、今年度新たに解析したCMBパワースペクトルや銀河バイアスのスケール依存性などを用いた研究も進展させる。
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Report
(3 results)
Research Products
(24 results)