小胞体形成に必須な新規因子PecanexのNotch情報伝達における機能の解析
Project/Area Number |
10J07624
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Cell biology
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
山川 智子 東京理科大学, 基礎工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2010 – 2011
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2011)
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Budget Amount *help |
¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | Notch情報伝達系 / Pecanex / 神経過形成 / 小胞体ストレス / UPR / フォールディング / ショウジョウバエ / シャペロン / Notch / Drosophila |
Research Abstract |
多細胞生物におけるNotch受容体(Notch)を介した情報伝達系(Notch情報伝達系)は、細胞間の直接的接触による細胞間相互作用で機能し、多様な細胞運命を決定しています。ショウジョウバエpecanex(pcx)のホモ接合体同士から生まれた胚(pcx-胚)は、Notch情報伝達の喪失を示す神経細胞の過形成が起こることから、Notch情報伝達系の構成遺伝子として考えられてきましたが、その機能についてはこれまで全く理解されていませんでした。 これまでの私の研究結果から、PcxはNotchが活性化されるまでの過程で機能していることがわかりました。また、Pcxは小胞体タンパク質であり、pcxは小胞体の形態形成に必須であることが示唆されました。そこで私は、Notch情報伝達系はPcxの小胞体における機能に依存して起きると予測し、Notchが小胞体内で活性化のために受けるプロセスの一つ、フォールディングに対するpcxの影響を調べました。小胞体内にフォールディングされないタンパク質が生じることを小胞体ストレスといいます。小胞体ストレスを受けた細胞では、ストレス状態から回避するために、フォールディングを向上する遺伝子の発現誘導が起こります。この一連の応答は、unfolded protein response(UPR)と呼ばれています。これらの遺伝子に対する転写因子Xbp1をコードする遺伝子をpcx胚内で強制発現させ、神経過形成や小胞体の異常に改善が見られるかを調べた結果、いずれも顕著に救済されることがわかりました。そこで平成23年度では、UPRの誘導が、pcxの有無によるかを調べました。小胞体ストレスを介してUPRを誘導することが知られているドミナントネガティブ型の小胞体シャペロン、Hsc70-3をpcx胚内で強制発現させ、UPR誘導の指標となる活性化型Xbp1の検出をRT-PCRによって行いました。その結果、pcxが喪失してもUPRが誘導されることが明らかとなりました。さらに、Notchの特異的なシャペロンとして知られるO-fucosyltransferase1をpcx胚内で強制発現させたところ、neurogenic表現型の抑制が見られました。これらの結果は、pcxがNotchのフォールディングに機能している可能性を示唆しています。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究を始めた当初は、pcxホモ接合体どうしの交配から生まれた胚(pcx胚)における小胞体の形態異常が、pcxのNotch情報伝達系における機能を理解する唯一の手がかりでした。これまでの研究結果から、pcxが小胞体のシャペロン機能を介してNotch情報伝達系を制御している可能性が示唆されました。本研究によって、Notch情報伝達の制御における新たな側面が見えてきたと考えています。また、pcxの調節因子の探索という新たな研究も始めており、候補因子がいくつか挙がってきています。以上の理由から、本研究はおおむね順調に進展しているものと評価しました。
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Strategy for Future Research Activity |
pcxホモ接合体どうしの交配から生まれた胚(pcx胚)はNotch情報伝達系の異常を意味する神経過形成を示します。pcxホモ接合体のメスに野生型のオスを交配させて生まれた胚(pcx/+胚)では、神経過形成が抑制されます。このpcx/+胚は、18℃で飼育すると胚性致死となります。また、25℃ではサナギまで生存し、28℃では成虫まで生存します。そこで私は、pcxホモ接合体のメスに、染色体上の任意の領域が欠失した染色体欠失突然変異系統のオスを、25℃または28℃で交配させることにしました。生まれた胚が25℃で成虫まで生存する、または28℃で胚性致死となった場合、染色体上の欠失領域にはpcxと相互作用する調節因子がコードされている可能性が高いと予測しています。現在は第2染色体を網羅し、8系統が候補として得られています。
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Report
(2 results)
Research Products
(3 results)