Project/Area Number |
10J07945
|
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Pathological medical chemistry
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
細野 祥之 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2010 – 2011
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2010)
|
Budget Amount *help |
¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
|
Keywords | 肺腺癌 / 転移・浸潤 / アクチン細胞骨格 |
Research Abstract |
正常末梢肺上皮細胞株にTTF-1を導入し、マイクロアレイ法による網羅的遺伝子発現解析を行い、TTF-1導入細胞株において著明な発現誘導を示すTTF-1の標的遺伝子としてMYBPH (myosin binding protein H)を同定した。TTF-1によるMYBPHの発現調節が転写レベルで行われていることを、ルシフェラーゼアッセイ法とクロマチン免疫沈降法により確認した。MYBPH導入細胞株では細胞遊走能・浸潤能が抑制され、また高転移性肺癌細胞株の肺転移能の抑制が観察された。また、MYBPH高発現を示す肺腺癌臨床検体では病理学的に浸潤性が低かりた。 さらに、MYBPH導入細胞株ではアクチン・ミオシンの配交が乱れ、アクチンストレスファイバーの形成阻害を認めた。生化学的な機能解析を進めた結果、MYBPHがROCK1と結合してmyosin light chainのリン酸化を抑制すること及び、myosin heavy chainとも結合し、その会合を阻害することが明らかとなった。 興味深いことに、一部のTTF-1陽性の肺癌細胞株と肺腺癌臨床検体において、MYBPHはプロモーター領域のDNAメチル化による発現抑制をうけていた。 本研究により、TTF-1の発現が肺腺癌の生存に必須であるにも関わらず、なぜTTF-1を発現している肺腺癌は臨床的予後がいいのかという疑問に対して、TTF-1によって誘導されるMYBPHというこれまでほとんど機能未解明であった分子が、その原因の一端を担っている可能性が強く示唆された。また、肺腺癌の進展にとって不利に働くと考えられるMYBPHの発現は、そのプロモーター領域のDNAメチル化によって抑制されていることが明らかとなった。
|