Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2012: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Research Abstract |
2012年,LHC実験においてヒッグス粒子(だと考えられる新粒子)が発見された。「標準模型」の妥当性は,ほぼ間違いないものとなった。しかし,標準模型は完璧ではない。存在することは分かっているけれども目には見えない謎の物質「暗黒物質」の正体を,標準模型は説明することができない。 「超対称性理論(SUSY)」は,標準模型を超える理論の最有力候補である。この枠組みは,暗黒物質の正体を説明する上に,標準模型の持っている異常な性質「階層性問題」も解決する。本研究課題は,超対称性理論のLHC実験における検証において,理論にR-parityという対称性を仮定しない場合の検証法を調べる,というものである。 ところが,ヒッグス粒子の発見に伴い,その質量が126GeVだとわかった。この事実から,超対称性理論がLHC実験では検証できないほど高いエネルギー領域にある,という可能性が強まった。当初の計画ではこの状況を想定していなかったため,研究計画の見直しが必要となった。 そこで本年度は,超対称性理論がLHC実験の射程内にあるのはどのような場合であるか,という可能性を模索した。具体的なシナリオとして,2種類のシナリオを考えた。第1は,vector-like quarkと呼ばれる粒子が存在するシナリオ(2011年度に我々が提唱した)である。我々は,その場合にLHCにおいて期待される事象をシミュレーションした。その結果,この模型は大部分がすでに実験的に排除されている,および,残りの領域はLHC実験の再開後(2015年頃),速やかに検証される,ということがわかった。 第2は,squarkが非常に重く,sleptonが比較的軽い,という場合である。先と同様のシミュレーションをした結果,望ましい領域の一部は棄却されているが,大部分は未だに未検証であることが分かった。既存の手法では検証できない領域の存在も明らかになったため,この部分の解析手法について今後研究を進める必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ヒッグス粒子が,LHC実験の当初予想よりも非常に早い段階で発見され,さらにその質量から,超対称性理論がLHC実験においては検証できないほど高いエネルギー領域に存在することが示唆された。そのため私が当初計画していた手法を用いることが出来なくなってしまい,計画の変更を迫られた。
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