Project/Area Number |
10J09959
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Functional biochemistry
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
前川 大志 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2010 – 2012
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2012)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2012: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | 逆行性小胞輸送 / 非対称分裂 / 線虫 / SNARE / GS28 |
Research Abstract |
私はすでにゴルジ嚢間の逆行性小胞輸送に関わるSNARE分子であるGS28変異体において、1)生殖腺の移動に異常を示すこと(migration defect)、2)♂の生殖器の形態に異常を示すこと(ray defect)、3)幹細胞であるseam cellの非対称分裂に異常を示すこと、4)腸管におけるゴルジ局在タンパクの発現が減少することを見出している。一方で、これらの表現型の分子メカニズムは不明である。そこで、私はGS28変異体が示す表現型とゴルジ嚢間の逆行性小胞輸送との関係を分子レベルで解明するために、GS28変異体の表現型をフェノコピーするような変異体の探索を行った。 当研究室には小胞輸送関連分子以外にも、脂質代謝関連分子の線虫変異体ライブラリーが存在する。私は採用2年度目において、脂質代謝関連分子の線虫変異体ライブラリーの中から、幹細胞の非対称分裂に異常があるような変異体を半網羅的に探索した。その結果、線虫の脂肪酸代謝酵素であり、アラキドン酸(AA)やエイコサペンタエン酸(EPA)を合成するfat遺伝子の変異体(fat-4 3 1変異体)において、弱いながらもseam cellの非対称分裂の異常が見られることを見出した。この結果は、seam cellの非対称分裂に脂肪酸代謝が関わっていることを示唆するものである。 本年度において私は、GS28変異体とfat-4 3 1変異体との関連性をさらに解析するために、幹細胞非対称分裂の異常以外の表現型の類似を探索した。その結果、GS28変異体、fat-4 3 1変異体共にseam cellの非対称分裂だけでなく、seamの構造自体に大きな異常を示すことを見出した。さらに、fat-4 3 1変異体のseam cellの非対称分裂、seamの構造異常は、PUFAの添加によりレスキューされた。これらの結果は、幹細胞の非対称分裂にゴルジ嚢間の逆行性小胞輸送が必要であり、その分子機構において、AAやEPAといったPUFAが関与する事を強く示唆する結果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
GS28変異体と遺伝学的に相互作用する遺伝子や、表現型をフェノコピーする変異体を見つけることができ、PUFAを中心とした脂肪酸代謝と逆行性小胞輸送との関連性が見え始めた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、リン脂質中のPUFAが重要なのか、遊離したPUFAが必要なのか、さらにどの種類のリン脂質中のPUFAが必要なのかを検証したい。当研究室では、PCにPUFAを導入できなくなるmboa-6変異体、PIにPUFAを導入できなくなるmboa-7変異体を所有しており、当研究室でしかできないオリジナリティの高い研究が展開できるものと期待している。
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