タンパク質のフォールディングを促進する低分子化合物に関する医薬化学的応用研究
Project/Area Number |
10J10583
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Drug development chemistry
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大金 賢司 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2010 – 2012
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2012)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2012: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | NPC1 / ニーマンピック病C型 / フォールディング / pharmacological chaperone / オキシステロール / ステロール結合部位 / Niemann-Pick Type C1 |
Research Abstract |
昨年度から当該年度にかけて、過剰発現系においてNPC1変異体のフェノタイプを修正するステロール誘導体が患者由来細胞の内在性NPC1変異体に対しても有効であり、その安定性の低下・成熟異常・機能の欠損といったフェノタイプを修正できることを示した。これにより、ニーマンピック病C型の治療に低分子化合物を用いてタンパク質のフォールディング異常を修正するという方法が有効である可能性を示すことができたと考えいてい る。これまでに創製した化合物はステロイド骨格を持つ化合物であり、代謝安定性など、医薬応用を目指す上では問題が予想される。そのため、非ステロイド性骨格を有するよりドラッグライクな化合物が望まれる。このような非ステロイド性の化合物を得るための基礎検討を行い、非ステロイド化が可能であることを示唆するデータを得ている。非ステロイド性化合物に関しては、今後さらなる検討が必要ではあるが、治療薬候補という点からは期待が持てるものであると考えている。 昨年度までに、NPC1の既知のステロール結合部位であるN末端ドメイン以外にステロール結合部位があるということは見出していたが、その詳細な位置に関しては不明であった。光親和性標識と質量分析法の組み合わせによるアミノ酸レベルでの結合部位同定にはいたらなかったものの、NPC1の欠失変異体を用いた解析とプローブ化したステロール誘導体を用いた光親和性標識実験により、新規ステロール結合部位の位置を絞り込むことに成功し、今後の解析の足がかりとなる結果を得た。NPC1は細胞内においてエンドソームから他のオルガネラへのコレステロール輸送に関わることは分かっていたが、その輸送メカニズムは不明であった。本研究を通してNPC1に二つのステロール結合部位があることが明らかとなったが、この結果はNPC1のステロール輸送メカニズム解明に向けて、新たな仮説の構築を可能にするものであり、大きな成果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第二のステロール結合部位のアミノ酸レベルでの同定には至っていないものの、欠失変異と光親和性標識の組み合わせにより結合部位の絞り込みには成功した。また、新たな治療法という観点からは、昨年度から解析を追加し、ポテンシャルをより説得力を持って示すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究を通して、ニーマンピック病C型にpharmacological chaperoneを用いることが有用であることをステロール誘導体を用いて示すことができた。今後の課題としては、in vivoでの評価に適した化合物として、非ステロイド性のpharmacological chaperoneを創製することが挙げられる。現在シードとなる化合物を得ており、構造活性相関研究により高活性化を行う必要がある。 また、本研究でNPC1の第二のステロール結合部位の存在を明らかにし、位置の絞り込みに成功した。今後、そのさらに詳細な位置の同定、ならびにその部位の機能的意義の解明などが残る課題である。
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Report
(3 results)
Research Products
(10 results)