Project/Area Number |
10J55312
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
物性Ⅰ(光物性・半導体・誘電体)(実験)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田口 誠二 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2010 – 2011
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2011)
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Budget Amount *help |
¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | 半導体ナノ粒子 / 超高速分光 / 高密度励起状態 |
Research Abstract |
CdSナノ粒子とCdTeナノ粒子が単一界面で接合しているCdS/CdTeヘテロダイマーナノ粒子の超高速キャリアダイナミクスを研究した。この構造は伝導帯の底をCdS部に、価電子帯の頂上をCdTe部に持つType-II量子構造であり、光励起された励起子を電子と正孔とに空間的に分離できると予想される。このType-II構造における電荷分離状態は、非輻射オージェ再結合を抑制し光学利得の閾値を低減するなど、多励起子状態において新たな機能性を生じさせることが期待できる。特に実験で用いたヘテロダイマーナノ粒子は中心対称性の破れた特徴的な形状を持つため、非常に高効率な励起子の電荷分離が可能であると考えられ、Type-II構造における新たな多励起子現象を探索するのに適した構造である。この構造における電荷分離を確認するために、既存の単一波長でのみ測定可能であったポンプ・プローブ測定系をプローブ波長を掃引しながら自動測定できるように改良し、過渡吸収スペクトルを測定した。その結果、CdSよりもバンドギャップエネルギーの小さなCdTe部のみを選択的に励起した場合においても、CdS電子準位を光キャリアが占有したことによるブリーチング信号を観測することができた。また、CdTe電子準位のポピュレーションの減少と同期してCdS電子準位のポピュレーションが増加しており、これらの結果からCdTeからCdSへ約400fsで電荷移動することを明らかにした。さらには、多励起子状態においては電荷移動が促進されていることを観測した。過渡吸収ダイナミクスの励起強度依存性を詳細に分析した結果、多励起子状態においてはCdTeの高エネルギーの電子準位から緩和を経ずに直接電荷移動する過程が新たに生じることがわかった。本研究の結果は、ナノ粒子中に閉じ込められた電子間の衝突によって効率的な電荷分離が可能であることを示唆しており、多励起子を利用することによって光電変換効率を劇的に向上させる可能性を提示する応用上も重要な結果である。
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